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27,地獄

契約書に縛られ、制約が常に見を蝕み続ける。そんな魔法少女は反吐が出るほどつまらなく、見るに耐えないものだ。自由に、何にも囚われず、羽が生えたような軽やかさで舞う魔法少女はめっぽう素晴らしく、美しい。

「これで、アタシもまた自由になれる」

「お姉ちゃん、何言ってるの?」

あれ?今私なにか行ったか?聖奈、何でココに?見ないでくれ、アタシが人を殺してるところなんて見ないでくれ。そんなつもりじゃ、人を殺すなんて、アタシが生きていてそんなことっ・・・!

「アタシに任せろ。何もかも忘れて、この世の理通りになる。アタシが最高の、お前が最高になるシナリオを組み立ててやる」

「・・・お姉ちゃん?」

あぁ気持ち悪い。いっそ夢であってくれ。そんなことを思う自分にすら吐き気がする、気持ち悪い気持ち悪い。なんでこの人が死んでアタシが生きてんだ?気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い―――

「悪いな聖奈、少し急用ができた」

そう言うと菊花はとんでもないスピードで何処かへ行ってしまった。

「お姉ちゃんじゃなかった・・・顔とか声はお姉ちゃんだったけど・・・誰、あの人・・・」

周りのビルが崩れ始めた。どうやら日本中の魔法少女が善戦してなんとか紅の進行を食い止めているようだけど、また紅が暴れ出したらしい。

「どうなってるの・・・お姉ちゃん、私どうしたらいいの?」

辺りが静かになった。

紅が暴れるのを止めたようだが・・・なぜ?

「空気が・・・乾いていく」

それに魔力も・・・

その瞬間に紅の内部にとんでもない魔力が溜まりだした。その場にいる全ての魔法少女がこれは自爆の兆候だと気付いた。

でも間に合わない、逃げるのも、止めるのも。

「・・・あ・・・」


―――


「いざ来てみたら、今はこんなところでホームレスなんてやってるのか」

菊花は橋の下で段ボールにくるまっている男に声をかけた。その男は菊花に春日井つるぎを殺せと呪いをかけた、松本菊花を魔法少女にした張本人、浦賀学。

「君・・・誰」

菊花はその男の一挙手一投足にイライラしていた。この無責任さに、まるで自分は不幸ですと物語っているこの顔が。

「春日井つるぎ、殺してきたよ」

学はその言葉を聞くと目を丸くした後、何か言おうとしていたがまた無表情になった。

「もう・・・いいんだ、間違っていたんだ、俺も、誰も」

「ッてめぇ!身勝手に一人の女の子を魔法少女にしておいて、やっぱ違いましただぁ?ふざけんじゃねぇぞ」

菊花は学の胸ぐらを掴み、罵声を浴びせた。

「そうか、君、あの時の女の子か。本当に済まないと思っている。気が済むまで殴ってくれ、殺してもらったっていい」

菊花は舌打ちした後に言った。

「その死ねば許されると思ってんのもうぜぇ、お前の贖罪なんてどうでもいい、契約書はどこだ」

学は言った。

「食った」


有里瞬です。

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