間奏三:こころ
簪理光に宿ったのは「土を操る魔法」
一般的な使い道としては土の壁を出したり、目くらましにしたり、汎用性の高い至って普通の魔法だった。
しかし理光は戦傷者として二度と前線に立つことはない。自暴自棄になりつつも理光は土人形を作り続けていた。理由はない。
ただ本当は・・・
理光は完成した土人形に自分の血を滴らせた。思惑はあった、手がかりもあった。魔法少女の血には世界を根底から覆す常識を超えた力がある。もし土人形が自我を持ち、動き出したら・・・
「まぁあぁぁ・・・」
喋った。土人形に言語を話す器官はない、今明らかに土人形に生が宿った。
しかし形が崩れ、ただの土に戻る。
「まだだ」
それから何ヶ月も同じことを繰り返した。貧血で倒れかけたときもあった、というか倒れた。
ダメだ・・・どれだけやっても2分が限界だ・・・。
2分経ってしまうと崩れてしまう。血の量を増やしても、土の内容の構成を変えても完成しなかった。
「今なら図工で1位取れる自信あるぜぇ・・・」
何がダメなんだ?多分はじめからミスってるな。全部やり直そう。逆に考えろ・・・ダメだ、また出血してきた。
出血によって流れた血は地面にばらまかれている土に染み込んでいった。
理光は久しぶりにリビングのドアを開ける。
・・・あれ
「この部屋から出るの何日ぶりだ?」
ありえない異臭。
それから1日かけて掃除をした。昼飯も夜飯も自炊した。布団も干して、リフレッシュした。
そういや、病院から出てまともに生活したの今日が初めてじゃね?・・・てか掃除して何になるの?どうせ俺は死んでるみたいなものだし、こんな魔法を手にしたところで使い道もない。このまま何も遂げずに死んでいくんだろーな・・・
ギシッ。
「はじめまして、御主人様」
後ろを振り向いたら土人形が「こころ」を持っていた。自分で考え、動き、話したのだ。
「どーして・・・急にぃ」
ミスアバランチ、簪理光の家で誕生。
その日からしばらく土人形の制作がうまくいくようになった。その過程でテクノも誕生した。ミスアバランチはテクノを娘のように扱った。
・・・なんかこれ・・・俺、父親みてーだな・・・。
そして3体目の「こころ」を持った土人形、モンクルが誕生した。
こいつらは土とはいえ「こころ」を持ってる、それが俺を一層浮かれさせた。そして目が覚めた。
モンクルが崩れていた。その時初めて知ったのは心臓部分、つまり「こころ」は比喩的な意味ではなく実際に土人形のコアとしてあるのだとミスアバランチが教えてくれた。
俺の土はただの人間に壊せるほどヤワじゃない。
魔法少女!
一体何が目的でモンクルを殺したのか、なぜ「こころ」を持っていったのか。いやそんなのどうでもいい、どうせ俺への嫌がらせだ。魔法少女反逆事件の時の腹いせを今になってやりに来たんだろう?
「魔法少女狩りだ」
ミスアバランチとテクノに過剰なまでの血を飲ませると、案の定魔法を宿した。
そして地方で魔法少女を殺して回りながら、ようやく春日井つるぎに会えた。
有里瞬です。
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