22,忠誠だけ
目が覚めても体はいまだ原型をとどめていた。それは主である簪理光の生存を意味する。
「早く・・・助けないと」
「たしかミスアバランチとか言ってたっけ」
春日井つるぎ!もうそんなに時間が経っていたのか、私単体で春日井つるぎと戦って勝算はない。逃げるにも魔力が足りない。
「逃げないで、今助けてあげる」
春日井つるぎが魔力を注ぎ始めた。
「何してる、私は敵だぞ」
「ここに来たってことは、あの男は目的に気づいたんでしょ?それを先越されちゃもっと問題が悪化する」つまり春日井つるぎが言いたいのは理光様が紅の死体を利用することで現状の魔法少女の立ち位置が更に悪化するということだ。
「理光様がどう使うかは私も聞いていない、それに・・・」
この女に全て言ってしまってもいいのか?コイツは必ず理光様の邪魔になる。自害してでも情報を言うべきでない。
「あなた、気付いてないかもだけど人間になりつつあるわよ。細胞が分裂したがってる。生けるものにしかこんなこと起きない」
は?私は理光様に造られた土人形で数少ない心を持った存在だ。
「もう命令なんてなしに動けるんでしょ」
そうだ、昔は言われたことをやるだけで良かった。でも今は率先して理光様の考えていることを実行している。でもそれは土人形として、プログラムとして学習したんだと言い聞かせてきた。
「そんなことを言って、私がお前に協力するとでも?」
「どっちにしてもあの男をあなたは助けに行く。紅が関わっているもの、どんなイレギュラーがあったって驚かないわ。私の力があったほうがいいでしょ?」
一時休戦・・・か。
「理光様を取り返したら、後ろからお前の首を斬って理光様に献上する」
「ん、良かった。そう言ってもらえて。おかげでこの子を殺しきらなくて良くなった」
春日井つるぎは懐からテクノの心臓部分を取り出して言った。
「ごめんね、こっちも必死だったから」
理光様さえいれば、テクノだって何度でも蘇る。もし私が協力を断っていたらと思うとゾッとする。
「それじゃあ教えて、ここでなにがあったの」
私は春日井つるぎにここで起こった全てのことについて話した。
有里瞬です。
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