21,玉座
自分自身でもよくわかってる、大人げない、この結果に答えも成果も残らない。残るのは春日井つるぎを殺したという充実か喪失か。
「俺はあの時不運にも気付いてしまったんだ。春日井つるぎが一体何を目的に魔法少女をいまだやっているのか。だがまだ気付いていない、春日井つるぎの目標には契約書のことが一切考慮されていない。しかし俺ならばどちらも考慮しつつ最高の方法で春日井つるぎの目的を遂げることができる!なんだミスアバランチ、なぜこの俺が春日井つるぎの目的を代わりに遂行しようとしているのかって?別に大したことはないさ、この過程に春日井つるぎを殺すという工程が組み込まれている。これが最もそれに近いと考えただけだ。知っているか、前の魔法少女反逆事件の終着地、俺が元仕切っていた司令室跡。ここにはアレがある。アレは死んでから未だに放射能を出しまくっていてな。隔離するほかなかったから放置されてる。近隣住民も全員引っ越しを余儀なくされた、前世代の負の遺物さ」
理光の前にはまるで石か蛹のように見える像がある。これは
「最悪の魔法少女、紅の死体だ」
死んでもなお圧倒的な雰囲気を醸し出している。
「理光様・・・この像」
「まだ春日井つるぎが来るには下準備が足りないだろう、テクノを向かわせておいて正解だ」
「ですから理光様!」
「なぁんだミスアバランチさっきから!」
「この像、まだ生きてます」
息をしているわけではない、心臓が動いてるはずもない。
「私のセンサーに反応してきます。まだ生きています、確実に」
俺に撃たれてこの13年間このまま仮死状態を続けていたのか。
「ちょっと待て、こいつ本当に紅か?」
13年前あの時ここを襲撃されたときはパニックでしっかりと確認できなかった。今見てみると違和感がある。
「体が一回り小さい気がする、それに北海道から本州まで1秒もかからず移動する、背中を見せたものを無差別に殺す、全てを燃やす雪を降らす最強の魔法を使う最悪の魔法少女が俺の、一般人であった俺の弾丸1発で死んだ・・・?なぜ当たった?なぜそんなことを――」
「理光様!!」
影がフッとかかる。こんなこと誰が予想できよう。
「紅は2体いた・・・」
大口を開けた紅が理光と紅であるはずの像を地面丸ごと飲み込んだ。
「くっ・・・理光様」
魔法が切れる予兆はない、理光様はまだ死んでない。
剣を抜き、腕を切り落とそうとする。
がまるで大木を斬ったかのような感触、歯が立たない。
「オオオオ・・・」
紅が叫ぶ。そのあまりの音量の衝撃波でミスアバランチは吹き飛ばされ気を失った。目が覚めると、そこにはあったのは瓦礫だけ、紅は跡形もなく消えていた。
有里瞬です。
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