2,朧
私がいつもの公園で1人でブランコを漕いでいると、2、30代の男の人が話しかけてきた。
「君、魔法少女にならないか」
男はポッケからグシャグシャの紙を取り出した。契約書だ。
私はちょうど暇だったし、魔法少女ってかっこいいし、皆んなを守れるからって理由で軽々と魔法少女になった。それからビー玉に変な力が宿るようになった。
「もし今後君がものすごく強くなるなら、お兄さんと約束してくれないか」
「なるよ!皆んなを守れるくらいつよーい魔法少女になる!」
近くで見るとその人の目は黒く淀んでいて、何もかもに絶望しているような目をしていた。
「そうか、じゃあ■■■ ■■■を殺してほしんだ」
その時は、どうせ忘れると思っていたのに今でもあのときのことを覚えている。殺す、という単語が小学生の私にはインパクトが大きかったから。あのお兄さんは誰を殺してほしいんだっけ。なんで殺してほしいんだっけ。
「んあ・・・遅刻・・・まぁいっか」
私は再びベッドでスヤァ・・・
「駄目でしょ!何言ってるの、学校行くよ!」
また母さんったら勝手に有栖を家に入れたな。私は目をこすりながら渋々学校の準備をした。
登校のときに有栖から昨日の話をされた。昨日起きたこと。どうやら私が魔法少女とはなんとかバレてないようだけど・・・
最近、陰が増えてきてるような?
昨日はこの街に1体だけ現れたが、隣町は同時に4体も現れたらしい。私はソロでやってる魔法使いだから、隣町の子たちはよくわからないけど無事かな・・・。
「夏休み、何して遊ぼうね」
「あっ・・・」
そういえばもうすぐ夏休みじゃん。
夜、最近はやっぱり陰が出やすい。昨日と違って今日は既に2体。
「これでフィニッシュ!あんま大きくなくてよかった。昨日のやつ2連続とかだったら流石にきついからなー」
連戦が続いて流石に疲れた。一息ついていると・・・
「危ない!後ろ!」
間一髪、今の声がなかったら危なかった。しかも3メートル級の攻撃、魔法少女とはいえ致命傷になり得る。しかし今の声は一体・・・?
「助太刀するわ!」
魔法少女!私以外の!黄緑のドレスに一本結び。絶対剣道部だ、剣持ってるもん。そして速い!
すぐさま陰の死角をとってダメージを当ててる。当てたらすぐ死角へ。ゲームとかでやられたら絶対ウザイやつだ、うん。
「足を削るからそこを狙って!」
「りょーかいっ」
共同作業は義務教育で散々やってきたけど魔法少女でやるのは初めてだ。
黄緑ドレスの魔法少女は言葉通り、陰を跪かせた。そこに特大のを一発ぶち込んで、なんとか倒すことができた。
「やるね、君。ここら辺の魔法少女なの?」
全く息が上がってない。
「まぁ!私は今日で3回目だし!別に全然疲れてないけど!」
「ん、急にどうしたの。お辛かったんだね・・・」
どうやら彼女は東京の魔法少女らしい。そんな都会っ子がこんな地方都市になんの目的が?
「こっちが母さんの出身で墓参りしに来たんだ、ほら、アタシ達夜にしか魔法少女になれないじゃん?移動費削減ってこと」
そう、魔法少女は夜にしか変身できないのだ。でも日中に陰が生まれることもないので日常に大した問題はない。
「あっ自己紹介がまだだったね、アタシ浦賀 聖奈。東京で魔法少女やってるの。武器はこの短剣」
「私は松本菊花、菊花でいいよ。さっきはありがと。浦賀さんのおかげで命拾いしたよ」
「私も聖奈でいいよ、助けてあげたお礼って言っちゃあれだけど・・・泊まらせてくれない?」
こいつ実は普通に電車とかで来て今まで宿でも探してたんじゃないか?
どうせクソお人好しのお母さんに行ったらどうせオッケーするし・・・恩人とはいえ、初対面を家に泊めるというのは・・・
「聖奈は何歳なの?ネカフェとかなら案内する――」
「14歳!まだ中学生です」
敬語はどうした、敬語は。
有里瞬です。
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