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後日談

1年後の春、陽叶は大学を卒業して

社会人となった。



心理カウンセラーとして心療内科や

小児科に赴き、悩みを抱えた人と

向き合い、支えになっている。




輝夜の復帰ライブから約2ヶ月後、

占い師の雷架は詐欺の疑いで逮捕された。




厳しい取り調べにより、何故不妊に

悩む女性を狙っていたかがわかった。




雷架は20代で結婚し、大好きな人との

子を授かれる日を心待ちにしていたが、


妊活を初める前に子宮がん検診へ

行ったところ、後日病院に呼ばれ、

子宮頸がんが見つかり、進行していて

子宮全摘手術が必要だと宣告された。



毎日枕を濡らす日々だったが、

他に手立てがなく、手術を受けた。


それからは心を病み、夫とは離婚。



しばらくは赤ちゃんの鳴き声を聞くのも

辛く、耳栓をして街に出ていたが、

やっぱり他人の子供でも愛おしく思えて、

子供を拒絶する日々が、次第に子供を

欲する気持ちが強くなっていってしまう。




人の子でも、一目でいいから見たいと

産婦人科の前に立っていると、あの日の

自分のように暗い顔をした女性を見かける。



気持ちが痛いほどわかり、思わず声を

かけるが、気味悪がられて避けられ、

話が出来ないので、占い師だと嘘をつき、

言うことを聞けば子供が出来ると言って

近付くようになった。




結局授かれず嘘だとバレては逃げてを

繰り返して生きてきたが、そんな時に

出会ったのが陽叶の母だったという。



何でも願いを叶えなければ死ぬという

謳い文句は、もし自分が子供を産めたら

絶対に不自由にさせたくないという

思いからだった。






生まれてきた陽叶は本当に可愛くて

陽叶の母と一緒に子育てを楽しんだ。



陽叶の成長を見ていくにつれて

この子を失ったらどうしようという

不安に駆られていった。


自分が嘘をついて陽叶の母にかけた

呪いに、自ら苦しめられたのだ。



被害総額は億になると見られ、

執行猶予は付かず、実刑を受けている。



雷架は消灯時間が過ぎると毎日

「陽ちゃん…陽ちゃん……」と

泣いているそうだ。






陽叶の母は、祖父の会社の

下請け企業で働いている。


人生で初めて就職をしたこともあり、

出来ないことだらけだが、決して

弱音は吐かず、アドバイスも素直に

聞き入れて頑張っている。



家へ帰ると、今までやったことのない

料理も、日野さんに教わりながら

作り、毎日レシピ帳に記録している。



いつか、もし陽叶が会ってくれたら

作りたいからだという。




現在も夫である、陽叶の二番目の父は

陽叶のために変わろうとする姿を見て


支えになりたいと思い、


夜に突然行く宛もなくドライブに

連れて行ったり、弾丸旅行へ行ったりと

夫婦関係を少しずつ深めていった。



そこまでするのも、彼は結婚前から

彼女のことが好きだったからだ。



どんな時も笑顔でご苦労さまと

声をかけてくれる陽叶の母へ、次第に

想いを寄せるようになった。



陽叶の母も、自分と仲を深めようと

思ってくれる彼に、少しずつだが

惹かれていった。



彼は持ち前の愛嬌と社交性が祖父に

気に入られ、跡継ぎ候補として

祖父と働いている。




陽叶の母が洗脳の後遺症から

抜け出せる日は、


そう遠くないかもしれない。





輝夜は、復帰ライブで歌った

『月明かりはスポットライト』が

人気を博し、TVや雑誌など、


今まで以上に出るようになり、

その人気は海外にまで及ぶほどになった。



あのライブの後、事務所に

送り主が記載されていない一通の

手紙が届いた。



マネージャーと共に中身を見ると



『あんたには一生叶わないわ』と


ただ一言、殴り書きで書かれていた。



それを見たマネージャーは

いたずらかと拍子抜けしていたが、

輝夜は一瞬で送り主が母だと気付いた。




父によると、田舎でスナックの

ママとして働いているらしい。





プライベートでは、世間にマンションが

知られたこともあり、引っ越した。


陽叶も母親に知られからと荷造りを

していたので、同じ部屋に引越し、

同棲を始めた。




早く帰宅した方が料理を作り、

作ってもらった方が洗い物担当。



洗濯は毎日一緒に片付ける。


役割は決めず、自然とこういう

形が作れている。



二人は料理の腕をどんどん上げ、

輝夜は料理本を出そうかなと

考えるくらい、趣味になっていた。




定期的にお互いの父と日野さんを招き、

料理を作って振る舞ったり、日野さんが

作ってくれたりと、交流を深めている。



日野さんから母の話を聞いて、

変わろうとしている母を

陽叶も少しずつ受け入れていこうと

過去に向き合っている最中だ。





今日の二人は、


次のパーティにはあれを作ろう、

これなんか喜ぶんじゃない?と


ソファで仲良く肩を寄せ合いながら

スマホでいいレシピを見つけては

見せあっていた。




輝夜「これいいな、絶対喜ぶ。

よし、今から作るか。」




陽叶「よし!…って材料ないじゃん!

そうと決まれば買い出しに行くぞー!」





輝夜「はは。何もないじゃん!えっと、

必要なのは赤ワインと牛肉と…」




陽叶「スクショしたから大丈夫!

さあ買い物へレッツゴー!!!」





二人は部屋の鍵を閉め、

手を繋いで買い物へ向かった。





桜が満開に咲き、二人が歩く道は

花びらの絨毯が出来ていた。





暗闇を真っ直ぐ進む彼らを

スポットライトのように照らす月は、


満月だった。














この作品は、


母からの愛を受けられず、

望まない道を進んでもなお

お金を搾取されてきた輝夜を月、


母からの愛を重いほど受け、

お金があり過ぎて占い師にお金と人生を

搾取され続けた陽叶を太陽に例えました。




幼少期の親からの愛は人格形成に

大きく影響し、一生物。


適度な愛と、ある程度のお金がなければ

人は育たない。


愛を与えすぎても、お金があっても

人は幸せになれない。

足元を見る悪い奴によって騙され、

人生が狂わされる場合もある。



「母」と「金」、同じことが悩みだけど

正反対の理由で悩む二人。




そんな太陽と月のような彼らが

満月によって引き寄せられ、


逆風をついて進んで行ってほしい



そんな想いを込めて描きました。







母に悩まされるという設定なので

女性不信→異性に恋が出来ない

と、思いBLにしてみましたが


ヒューマンドラマとして

見ていただけるよう心掛けました。




初めは軽く、

段々重くなっていく話なので


読む方も疲れると思います。

すみません。



後日談で心が軽くなることを

願っています。




最後までお読みいただき

ありがとうございました。


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