第23話 呆気ない決着。被害は最小
ソルジャー・アントを率いていた女帝━━━エンプレス・アントが一撃で討伐されたことにハンターは勿論、ソルジャー・アント達も、一瞬呆然となっていた。
しかし現実を認識し始めると、困惑が激しい怒りに変わり、女帝の仇を討つべく左右に整列していたソルジャー・アント達が、一斉に動き出す。
「アイシクル・レイン」
手早く事態を終息させるため、俺は通常より魔力を消費して、【氷魔法】の広範囲殲滅魔法を行使した。
頭上より、鋭利な氷柱が大量にソルジャー・アント達に降り注ぎ、その丈夫な外殻を易々と貫いていく。
〜
〜
〜
『Lv.77にUPしました』
『魔力が16UPしました』
『筋力が16UPしました』
『頑丈が31UPしました』
『敏捷が16UPしました』
『知力が16UPしました』
『精神が29UPしました』
『器用が18UPしました』
『幸運が18UPしました』
大きく鋭利な氷柱が何本も身体に突き刺さり、地面に標本のように磔にされたソルジャー・アント達の間を通り、ハンター達の元へ向かう。
「ソルジャー・アントの群れと、それを率いていたエンプレス・アントは討伐しました。なので、落ち着いて行動しましょう。まずは重軽傷者の回復を━━━」
俺が皆に聞こえるように大声で話し始めると、まだ現状に理解が追いついていないハンター達が、辿々しい動きで対応に当たり始める。
俺も、【神聖魔法】を所持していないので治癒はできないが、有り余る体力と高い筋力値を生かして、少なくない重傷者を運び始めた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
重軽傷者の治癒や搬送が終了し、後は倒壊した建物の瓦礫や、魔物の死体の運搬のみ。
倒壊した建物は少ないのですぐ終わるが、魔物の死体が多いので、かなり時間がかかりそうだ。
今から戻っても、舞妓さんの店は営業中止だし、他の店も同様に営業中止状態だろう。他に急ぎやることもないし、運搬作業の手伝いをすることにした。
「松本さんは、帰らないんですか?」
「当たり前ですよ! スタンピードをソロで、しかも迅速に終息させた若き英雄が手伝っているのに、何もしていない自分が帰るわけにはいかないですよ!」
「俺は他にやることがないから、やっているだけです。松本さんみたいに、殊勝な心がけでやってないですよ」
「俺も松原さんとまだ話がしたいから、手伝っているだけですよ! それより、あの【氷魔法】は凄かったすね! 松原さんは、魔法職なんですか?」
「違いますよ」
「えぇ!? それなのに、あんな大規模な魔法を行使できるんですか! 魔法職でなければ、本職より魔力量は低いはずですが…」
「松本さんは、他のSランクハンターの魔法を見たことがありますか?」
「いや、ないですね」
「〈治癒の聖母〉は、【神聖魔法】に特化していると思うので分かりませんけど…〈焼滅の女帝〉は、【火魔法】で同規模の魔法を行使できると思いますよ」
「やっぱり、Sランクハンターって化物ですね…あ! エンプレス・アントとの戦闘も凄かったです! あの時…」
「どうしました?」
「そういえばあの時、松原さん【隠密】を使ってましたよね? 靄のように姿が消えたと思ったら、エンプレス・アントの背後にいましたし」
「…」
「えっ!? もしかして、暗殺系のジョブですか! でも、それであの規模の魔法を━━━」
「松本さん。今は、運搬作業に集中しましょう」
ブックマーク登録とリアクションで、作者を応援してください!
感想やレビューもお待ちしております!




