第17話 乱立する巨大な巣穴
ダンジョンの入口を潜ると、先が見通せない巨大な穴が空いた土製のかまくらが、そこかしこに乱立していた。
そして、その巨大な穴から出てきた大型トラック並みの黒い蟻と、他のハンター達は戦っているようだ。
ハンターが討伐した巨大な蟻を解体し、専用の荷車を押して入口に運んでいく一方で、巨大な蟻は殺したハンターを一人二人喰らうと、残りは巨大な穴に運んでいた。
つまり、このフィールド自体があの蟻共の巣のようだが、巨大な蟻が地上に向かって穴を掘り奇襲するようなことはなく、あの巨大な穴からしか、出入りはしないようだ。
ある程度どんな感じなのか把握できたので、他のハンターと交戦していない蟻を探し始めた。
接敵した蟻の魔物━━━ソルジャー・アントを見上げるが、本当に巨大だ。体高は3〜5メートルほどあり、全長も10メートルくらい。
どんなモノでも噛み砕けそうな大顎に、上質な武器でも傷つけることはできなそうな外殻と三対の脚。
所持スキルを視ても、物理攻撃や魔法攻撃に高い耐性があるので、本来であれば討伐に相当時間がかかるだろう。
ソルジャー・アントの突撃や大顎での捕食攻撃を躱し、〈バルムンク〉を握り距離を詰めたが、ソルジャー・アントは少し頭部を上げると、次の瞬間蟻酸を撒き散らした。
咄嗟に大きく飛び退いたが、先程までいた場所が蟻酸によってドロドロに溶けており、煙が立ち昇っている。
しかも広範囲に撒き散らされているので、前衛のタンクやアタッカーは、ほぼ回避不可能だろう。
そうなれば武器や防具どころか、その下の皮膚まで溶けてしまい、致命傷になり得る。だからこそ、ここで大事になるのは後衛の動きだ。
撒き散らし動作の予兆を逃さず、前衛に後退の指示と【土魔法】や【氷魔法】で防壁を築き、時間を稼ぐ。
それでも蟻酸を浴びてしまった場合は、迅速に【神聖魔法】で治癒すること。まぁ、BランクやAランクに昇級するほどのハンターなら、できて当たり前かもしれないが。
俺は、距離を詰めるため再度駆け出し、ソルジャー・アントが撒き散らし動作に入ったと同時、【短距離転移】で頭上に転移する。
そのまま外殻の節目に沿って〈バルムンク〉を振り下ろし、綺麗に頭部を斬り落とした。
『魔力が16UPしました』
『筋力が16UPしました』
『頑丈が31UPしました』
『敏捷が16UPしました』
『知力が16UPしました』
『精神が29UPしました』
『器用が18UPしました』
『幸運が18UPしました』
『【強酸耐性】Lv.6を獲得しました』
『【暗視】Lv.6を獲得しました』
綺麗に討伐できたソルジャー・アントの死体を〈マジック・ポーチ〉に収納し、その場に佇む。
いつもであれば、ボス部屋へ続く入口はフィールドの先にあるはずだが、ここはどうなんだろう?
この先か? 地下か?
どちらもあり得るが、近い方から調べてみるか。
そうして俺は、先の見通せない巨大な巣穴の中に、特に身構えることもなく入っていった。
ブックマーク登録とリアクションで、作者を応援してください!
感想やレビューもお待ちしております!




