第12話 後始末と物件探し
拉致事件の首謀者である大毅は死亡し、それに協力していたクランメンバーも全員死亡し、この件は一件落着となった。
父さんと母さんにこの惨状を見られたくないので、後始末に取り掛かる。損傷の少ない大毅の死体は収納し、周囲に散らばる肉片を一つ一つ集めて、【火魔法】で燃やす。
装備は円形闘技場の観覧席に一箇所にまとめて置き、闘技場内の血痕を隠すため【土魔法】で大量の土を被せ、整地した。
あと、俺の自白する姿や俺を集団リンチする映像を残すため設置されていたカメラを収納し、ついでに特等席にあったパソコンも収納した。
後始末を終えると、まだ意識を失っている父さんと母さんの拘束を解き、両脇に抱えてエレベーターに乗る。
一階のロビーにあったソファに座らせ、身体を揺すり声をかける。
「父さん、母さん。起きて」
何度か声をかけながら身体を揺すると、ゆっくりと目を開けて俺の顔を見つめ、周囲に視線を巡らす。
「唯人…ここは?」
「〈猛進の拳鬼〉っていう、大手クランが拠点にしているロビーだよ」
「でも、なんでここに私達がいるのかしら?」
「何があったかは、後できちんと話すから。それより、一応病院で診てもらおうか」
「「…?」」
何故? という疑問を浮かべた表情をしている父さんと母さんを連れて、タクシーに乗り込む。
一番近い病院で身体検査や血液検査を行い、すぐ分かる検査結果だけでも、二人に異常はなかった。
再度タクシーに乗り、家に帰宅した。そして、真っ直ぐ二階に上がるように父さんと母さんに伝え、俺は【水魔法】を行使しながら、血痕をできるだけ綺麗に拭く。
拭き取れなかった血痕に関しては、この後説明する時に、頭に血が上って強く殴ったからだと、嘘の言い訳をしておこう。
作業を終えると父さんと母さんを呼び、二人が椅子に座ったところで、今回起きた出来事の中で話せる部分を説明する。
「…なるほどな。そのSランクハンターが唯人に嫉妬して、軽く脅すために私達を拉致したのか」
「それで、さっき「もう二度とこんなことはしないって約束した」って言ったけど、本当に大丈夫なのかしら? 信じてもいいの?」
「大丈夫だよ。もう二度とそんなことはできないから」
「唯人がそう言うなら、信じよう」
「そうね。信じるわ」
「ただ、さっきの人達とは違う人達が、似たようなことをする可能性はあると思う。だから、早急にここよりも安全な場所に引っ越す必要がある」
「そうね。唯人が心配していたことが実際に起きたわけだから、私達も他人事じゃいられないわ」
「そうだな。何より、俺達が唯人の足枷になる」
「父さんは仕事だから、俺と母さんで物件を探してみるよ。引っ越し代や生活費は心配しないで!」
「「ありがとう」」
「じゃあ、父さんの希望を聞いておこうかな。何か間取りとかで希望ある?」
「そうだな━━━」
父さんの希望を聞きながら、俺は数日ハンター活動を休み、物件探しに集中することにした。




