第10話 対峙し、睨み合う両者
殺意を抱いた者達を一人残らず殺し、殺戮衝動が収まり我に帰る俺。周囲に散らばる無惨な奴等の姿を見て、すぐに両親の救出という本来の目的を思い出し、特等席に突撃する。
ミラーガラスはいとも簡単に砕け散り、特等席への突入に成功する。目の前には、腕をクロスして飛び散るガラスの破片から身を守る大柄な男がおり、ガラスの破片を防ぎ切ると、顔を上げて何かを叫ぼうとする。
しかし俺は、目の前の大柄な男に構うことなく、まずまだ生きている両親の姿を確認し、次に呆気に取られている男女の姿を確認し、【短距離転移】を発動する。
まず母さんの側に立つ女の背後に転移し、頭部を掴み首を急旋回することで殺害。次に鈍い音を聞き、こちらに顔を向けた男の目前に迫り、手刀で的確に心臓を貫く。
『魔力が29UPしました』
『筋力が46UPしました』
『頑丈が54UPしました』
『敏捷が35UPしました』
『知力が29UPしました』
『精神が44UPしました』
『器用が31UPしました』
『幸運が43UPしました』
『【身体強化】Lv.8にUPしました』
『【疾走】Lv.7を獲得しました』
『【挑発】Lv.7にUPしました』
ここで父さんと母さんを見張り、クランマスターの側に控えていたということは、この男女はクラン内でも、相当な実力者だったのだろう。
それでも、何の役目も果たせず、一瞬で俺に殺されてしまったが…。
男女の死体を収納すると、父さんと母さんに駆け寄り、呼吸の有無や怪我をしていないか確認し、とりあえず何も異常はなかった。
そうなると最後にやるべきことは、目の前の大柄な男━━━クランマスターである大毅の始末のみ。
立ち上がり、こちらの様子を油断なく注視していた大毅と睨み合う。
「…お前の身勝手な嫉妬に、ハンターでもない父さんと母さんを巻き込みやがって…お前だけは、絶対に許さないからな!」
「お前を服従させるために、都合が良かっただけだ。お前が素直に言うことを聞いていれば、両親に手を出すつもりはなかったさ」
「そうかよ」
「まぁ待てよ。俺の身勝手な嫉妬に巻き込んだのは、謝罪する。それに、クランの運営資金と保管している装備やアイテムも全部やるし、今後一切お前とお前の両親に近づかない。だから、命だけは見逃してほしい」
そう言って、深く頭を下げる大毅。内心では━━━
(形だけの謝罪なら、いくらでもしてやる。Sランクハンターである俺にとって、金や装備、アイテムの損失は、それほど痛くない。それより早急に即戦力の部下を集めるか、外部戦力に依頼し、絶対にお前に報復してやる!)
その場凌ぎの謝罪で、全く諦めていない大毅。表面上は誠心誠意謝罪している大毅の姿を見て、唯人の出した答えは━━━
「…こんなことを平気で仕出かす奴の言葉なんて、信じられるわけないだろ。遺恨を残さないためにも、お前を必ず殺す」
「チッ、面倒臭いガキだ。大人しく言うことを聞いていればいいものを」
こうして自称最強のSランクハンターと、Sランクダンジョン単独攻略を成し遂げたSランクハンターの戦いが、今始まる。




