第8話 奴等の思惑通りにならない
真っ先に飛び出してきたのは、剣士と槍士、闘士の三人だった。【看破】で視たステータスから三人の戦闘力は、Dランクハンター程度。
嬉々とした表情を浮かべ、先に辿り着いた剣士が俺の首元に長剣を振るうが、武器の方が折れてしまった。
続いて心臓目掛けて繰り出された長槍が、鳩尾を抉るように振るわれた拳が俺を襲うが、全くの無傷。
三人は驚きの表情を浮かべ、一度大きく距離を取る。物理攻撃でダメージを与えられないなら、次は魔法攻撃を試すようで、集団の中から二人の魔法士が出てきて、【火魔法】と【風魔法】を行使する。
火の投槍と風の刃が俺を襲うが、俺を傷つけることはできなかった。
「嘘だろ!? 武器でも魔法でも、傷つけられないなんて…」
「ハハハ! お前らが弱すぎるだけだろ! 最低限の力はあるようだし、次は俺の番だ!」
先程、俺を攻撃した奴等が下唇を噛みながら後方へ下がり、ソイツらよりは実力があると思われる奴等が、下卑た笑みを浮かべながら前に出てくる。
それから「次は俺がやる! お前らは下がってろ!」と気炎を吐きながら、次々と武器や魔法で無防備な俺を攻撃してくるが、そのどれもが、俺に擦り傷すら負わせられない。
「はぁ…お前らが疲弊してどうする。アイツを痛めつけて、大毅さんを楽しませるのが俺達の役目だ。…もういい、お前達は大人しく見てろ」
案内役の男が他のメンバーを下がらせ、大剣と両刃斧を肩に担いだ二人の男が、案内役の男と一緒に前へ出てきた。
案内役の男が両手を腰元まで引き、大きく深呼吸をすると、一瞬で俺の目の前に迫る。そして鋭く俺の鳩尾を抉り、俺は勢いよく吹き飛ばされる。
「「「「「うぉおおおおお!」」」」」
他のメンバーが歓声を上げる中、案内役の男は自分の拳を見つめていた。そして、俺がダメージを負った様子もなく立ち上がると、苦虫を潰したような顔をする。
(先程の打撃は、前回偉そうに勧誘してきた男より強かった。最低でも、Aランク相当の実力はありそうだな)
両親を人質にされているため、大剣や両刃斧を担いだ男達の攻撃も、防御や反撃はできず何度も吹き飛ばされるが、ダメージを負うことはない。
それらの攻撃に加えて、おそらくAランク相当の魔法士達が【氷魔法】や【雷魔法】を行使するが、氷の弓矢や落雷を受けても、俺は平気で立ち上がってくる。
俺に防御や反撃を許さず、自分達が一方的に甚振る立場なのに、全くダメージを与えられない。
次第にランクの低い者達は恐れを抱き、目の前の上級ハンター達は、憤りを感じ始める。
「クソッ! テメェ、スキルの発動も禁止だ! 言う通りにしないと、両親の命はねぇからな!」
「防御や反撃を禁止されてから、何もスキルは発動していません」
「チッ━━━はい。すみません。これから本気を出しますので!」
誰か━━━おそらく特等席にいるマスターだと思うが、ソイツと話し終えると、俺を鋭く睨みつける。
「こっからは本気でいくぞ。四肢欠損は覚悟しろ━━━いや、もしかしたら殺しちまうかもしれねぇが…まぁ安心しろ。すぐにお前の両親も、同じ場所に送ってやるからよ」
そう言うと、先程までの舐めた態度を改め、闘志の中に殺意を宿らせる。
その瞬間、俺の意識は殺戮衝動に支配され、Sランクダンジョンを単独で攻略した人外の化物が、足を一歩踏み出す。




