第71話 新たな称号と異質な武器
ファイアー・ドラゴンの死体が粒子状になって消失し、今までで一番豪華絢爛な宝箱が、目の前に現れた。
Sランクダンジョンの攻略報酬はどれほどなのか、ワクワクした気持ちで宝箱に手を伸ばそうとした時、さらに脳内に通知が聞こえてきた。
『貴方は、最上位の魔物であり天空の覇者である竜種を、単独で討伐した真に強き者です。偉業を成し遂げた貴方には、称号が贈られます』
『称号【ドラゴン・スレイヤー】を獲得しました』
『さらに、最上級のダンジョンを単独で攻略した偉業を讃え、称号【孤高の攻略者】の効果を変更しました』
久しぶりに、称号の通知を聞いたな。確か…【シリアルキラー】を獲得した時以来だったはずだ。
称号の詳細については、後ほど確認するとして…まずは、宝箱の中身を確認しよう。
早速宝箱を開けると、真っ赤に輝く大きな魔石と鋭い牙、伸縮性のある皮、頑丈な骨、赤色の液体が入った小瓶が、何個か並べられていた。
おそらく全て竜種の素材なので、一体どれほどの価値があるか分からない。そして、それらと一緒に並べられていた一振りの長剣。
剣身は血液のように真っ赤で、鍔や握り、柄頭は漆黒に染まっている。一目で上質な長剣だと分かるし、どんな効果があるのか楽しみだ!
一度大きく伸びをしてから魔法陣の上に立ち、外に転移する。足早に出張所の建物に向かい、マジック・ポーチから素材と武器を取り出す。
「素材の買取と武器の鑑定をお願いします」
職員がカウンターに並べられた物を見て、困惑している。その理由は、見慣れたフレイム・ワイバーンの素材じゃないからだろう。
職員は訝しげな表情を浮かべながら、真っ赤な魔石を両手で持ち上げる。そして━━━
「えっ…ファイアー・ドラゴンの魔石?」
「それは、ダンジョンボスの魔石です」
「ダンジョンボス? 君は確か、Sランクダンジョンから出てきたよな?」
「はい。なのでここにあるのは、Sランクダンジョンのボスの素材と攻略報酬の武器です」
「なっ、嘘だろ!? 君は一人のようだし、ここは最難関のSランクダンジョンだぞ! 大手クランだって、未だに攻略できていないんだ! それを君は、本当に攻略したというのか!?」
「困惑する気持ちは分かりますが、事実です。それを証明するために、これらの証拠があります。他の素材や武器も鑑定してみてください」
「ッ…そうだな。早計だった、すまない」
彼はハッとなり、素直に過ちを認め謝罪すると、鑑定を再開する。そして全ての鑑定を終えると、深く息を吐く。
「ふぅ…先程は驚きのあまり取り乱しましたが、外国のSランクダンジョンには、属性の違うワイバーンが確認されています」
「そうなんですね」
「はい。そしてダンジョンボスは、ワイバーンと同属性のドラゴンだと聞いています。それらを考慮すると、これらはダンジョンボスの素材と判断できます」
「ということは?」
「先程は失礼しました。Sランクダンジョンの攻略、おめでとうございます」
今まで未確認だったダンジョンボスだから、こうなるのは仕方がない。
「ありがとうございます」
「それで素材の買取ですが…今は保留にさせてください。これから他国の相場を参考に買取額の検討と、Sランクダンジョンの攻略を正式に認める決定が行われると思います」
「では、それまでは自分で保管しておきますね」
「よろしくお願いします。続いてこちらの長剣ですが、名称は〈バルムンク〉といいます。一つ目の効果は、竜種特効です。竜種限定ではありますが、非常に丈夫な竜鱗も斬ることが可能です」
それは有難い。ボス戦では、この短剣で竜鱗を斬ることは難しそうだと判断し、目を狙ったのだ。
この長剣があれば、わざわざそんな面倒臭いことをせずに済む。
「二つ目の効果は、不壊特性です。傷つくことは勿論、壊れることは絶対に無いようです」
なんか、神様の創造物にありそうな特性だな。まぁハンターにとっては、装備の整備や買い替えが必要なくて、めっちゃ嬉しいけど。
その分、経費削減になるしな。
「三つ目の効果は、筋力値と器用値+80です」
上昇数値が高いだけで、三つ目の効果は想定通りだな。
「以上となりますが、一つお伺いしてもよろしいですか?」
「はい」
「フレイム・ワイバーンは、討伐していないのですか?」
「いえ、討伐してますよ。ただ、死体をそのまま持ってきていますので、ここは狭いですね」
「分かりました。では、場所を移しましょう」
その後、別の場所でフレイム・ワイバーン達の死体を取り出し、指示された場所に並べていく。軽々と持ち運ぶ俺の姿を見て、職員達は驚いていた。
最後に、査定を終えた職員から報酬を貰い、帰路についた。
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