第64話 意外と相応の実力者
(…懐かしいなぁ)
奴等の後ろをついていきながら、感慨に耽る。この場所でステータスが閲覧できるようになり、超希少なユニークスキルを獲得し、本当の意味でハンターとなった。
最初は、内から湧き上がる恐怖心を必死に押し殺し、ゴブリンと戦った。その後、解体作業に慣れるまで、何度も吐き続けた。
それからも色々あったが、今ではAランクハンターとなり、Sランクダンジョン攻略目前まで至る。
今までのことを振り返りながら、これまでの自分を褒めてやりたいと思っていると、前方を歩く奴等が足を止めた。
「この辺でいいだろ」
そう言うとこちらへ振り返り、手や首をボキボキ鳴らし始めた。
「さて、お前に最後の機会をやる。さっきの生意気な態度を謝罪し、土下座するなら、多少痛めつける程度で済ませてやる。どうする?」
「こちらこそ、謝罪の機会を与えます。先程の高圧的な態度を謝罪し、土下座して頂ければ、マスターの元へ無事に帰してあげますよ」
「チッ、どこまでも生意気な野郎だ」
話し合いは決裂し、お互いが戦意を高める。俺達の戦意が高まるにつれて、周囲の空気がピンッと張り詰める。
両手を力強く握り、その拳を腰元まで引いた男は、鼻から大きく吸い込み、口から大きく吐き出すと、こちらを鋭く睨む。
直後、爆発的な加速力で距離を詰めると、鋭く重く拳を振り抜く。しかし目前まで迫る拳は、片手で容易に受け止められる。
その際の衝撃波が、周囲の木々を大きく傾ける。
男は、簡単に受け止められたことに目を見開く。しかし、掴まれる前に素早く拳を引き、その場で軽く跳ねると、身を翻し側頭部に蹴りを放つ。
「ッ…」
それも簡単に受け止められた男は、一度大きく飛び退き、距離を取る。
「俺の動きについてこれるとは、意外とやるじゃねぇか。Aランクになりたてとは、思えないぜ」
「貴方も粗野な見た目とは違って、相応の実力があるようですね」
いや、本当に意外だった。それに、先程の拳撃や蹴撃を見るに、しっかりとした技量を持ち合わせているのも明らか。
(伊達にAランクじゃないようだけど…)
打撃の威力は余裕で受け止められるし、その加速力も余裕で知覚できる。相手も本気じゃないと思うが、ここから多少バフが乗っても、対処は容易だと思う。
「それで、さっきのが貴方の本気ですか? 俺を半殺しにするとか言ってましたけど」
「あんなのが本気なわけねぇだろ!」
「じゃあ、もう様子見は辞めて本気を見せてください。貴方の打撃は、痛くも痒くもないので」
「上等だ! お望み通り、半殺しにしてやる!」
挑発に乗った男は、先程と同じ動作を繰り返し、目前に迫る。しかし男は、拳撃や蹴撃ではなく、手を胸に添えるように繰り出す。
よく分からない攻撃は回避するに限るので、その場で素早く屈み、足払いを仕掛ける。
男は素早く飛び退き、再度構え直すと、身体から白色の靄が立ち昇る。そして、再度同じ攻撃を繰り出す。
警戒心を高め、身体を回転させて回し蹴りを放つ。男は上体を反らして回避すると、逆の手で同じ動作を繰り返す。
何度かお互いの攻撃を回避し続けていると、男は俺の回し蹴りに回避が間に合わず、腕で防御する。
しかし、男の腕は小枝のようにへし折れ、大きく吹き飛ばされた。




