第63話 〈猛進の拳鬼〉
ギルドの職員に考えは変わらないことを伝え、カウンターに置かれていたハンター証を手に取り、ハンターギルドを後にした。
「さて、早速Sランクダンジョンに━━━」
「おい!」
背後から呼び止められたので振り向くと、粗悪粗暴な感じの男が二人、佇んでいた。格好からハンターだと分かるが、またクランへの勧誘だろうか?
「何でしょうか?」
「お前が松原唯人だろう? スタンピードの件で話題になっていたが、今さっきAランクに昇級したみたいだな」
「盗み聞きしてたんですか? まぁそれで、何の用ですか?」
「俺達は〈猛進の拳鬼〉に所属しているハンターで、お前と同じAランクだ。マスターの大毅さんから、お前を連れて来るように言われている。黙ってついてこい」
予想通り、クランへの勧誘みたいだが…何故こんなに偉そうで、上から目線なのか。〈炎帝軍団〉の奴等より、態度が酷いぞ。
「クランへの加入は考えていますが…貴方達と話すことは何もないです。そう、マスターに伝えてください」
俺の返答を聞いて、男達の額に血管が浮き上がる。今の一言で怒るとは、短気な野郎だな。
「お前は…自分が何を言っているのか、分かっているのか? さっきの言葉は、最強のSランクハンターである大毅さんに、喧嘩を売っているんだぞ?」
「そっちこそ、分かっていないみたいですね? 最初に喧嘩を売ってきたのは、そっちですよ。あんな上から目線で来られたら、誰だってそう思います」
「ハハハ! お前は馬鹿だな! そう言うってことは、売られた喧嘩を買ったってことだろ?」
「だったら?」
「ちょうどいい。大毅さんからは、半殺しにしても構わないと言われているんだ。舐め腐っている後輩に、先輩として教育してやるよ!」
「先輩も再教育が必要そうなので、丁寧に教えて差し上げますよ」
「ハッ、言ってろ」
そう言うと、どこかに向かって歩き始めた。
「どこ行くんですか?」
「あぁ? ダンジョンだよ。ここでおっ始めたら、他のクランが来て邪魔されるし、俺達ハンターは重罪で、最悪極刑だ。だから、無法のダンジョンに移動すんだよ」
なるほど。しかし、魔物はどうするんだ?
「あん? コイツ、ビビってるのか? 今ならまだ間に合うぜ! 土下座して靴を舐めるならな!」
沈黙して考えていたのを、怖気付いていると勘違いしたようだ。
「はぁ…ダンジョンに移動するのは賛成ですが、魔物はどうするんですか?」
「馬鹿だな、お前は。わざわざランクの高いダンジョンに行くわけないだろ。これから向かうのは、雑魚のゴブリンしかいないEランクダンジョンだ」
俺は当然として、目の前の奴等もBランク以上の実力はあるようだし、ゴブリンは何の障害にもならない。
納得すると、大人しく奴等の後をついていった。
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