第61話 超便利な夢のアイテム
デュラハンとの激闘を制し、出現した宝箱に手をかける。中に納められていたのは、ボスの素材と革製のポーチだった。
「えっ!? これって…」
一見すると、一般的なポーチと違いは見られない。携帯や財布くらいしか入らないように見えるが、ダンジョンから手に入る物が普通なわけがない。
ボスの素材とポーチを大事そうに抱え、魔法陣で外に戻る。早速、素材の売却と鑑定を依頼する。
「リビング・アーマー三体の魔石、デュラハンの魔石、ヘルム、フルアーマーの買取額は、6,000万になります」
デュラハンの装備については、サイズが合わないのと動きが制限されるため、売却することにした。
「続いてこちらのポーチは、〈マジック・ポーチ〉です。見た目とは異なり、収納容量は1,000,000,000㎥もあります。時間経過も存在せず、収納物が劣化することはありません。上級ダンジョンでも入手するのは非常に困難で、とても貴重なアイテムです」
やはり、思った通りだったか。てか、縦と横、高さが1キロメートルって…どれくらいだよ。
(討伐した魔物も百匹以上収納できるし、素材も無駄にならなくて済む)
しかも、入手が非常に難しい希少アイテムなだけあって、時間経過が存在しない。母さんの手作り弁当やコンビニのおにぎりも、ダンジョンに大量に持ち運べるな。
「所持している方はとても目立つので、強奪や盗難に気をつけてください。もし危険を避けたいのであれば、オークションに出品することをオススメします」
「分かりました」
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「ただいま!」
「お帰りなさい」
帰宅し、お風呂で汗と疲労を洗い流す。テーブルに並べられた夜ご飯を食べながら、話を切り出す。
「父さん母さん、話があるんだけど」
「あら? どんな話?」
「ここから━━━そうだな…例えばクランの社宅とか、もっと安全な場所に引っ越そうって話」
内容を聞いて、少し驚く両親。そして、父さんが引っ越しの理由を聞いてくる。
「何故だ?」
「この前のスタンピードとかハンター犯罪を考えると、父さんと母さんにはもっと安全な場所に住んでほしいと思ったんだ」
「そうだったのね」
「ダンジョンが出現してからも、ここで生活してきた。何故、このタイミングなんだ?」
「それは、一気に収入が増えたから」
「そうか。今まで詳しく聞いてこなかったが、どれくらい稼いでいるんだ?」
「えっと…今日を含めて、三つのAランクダンジョンを攻略したんだけど、全部で2億5,000万稼いだ」
金額を教えると、父さんは少し目を見開き、母さんは口元を手で押さえていた。
「えぇっ!? 2億! お、お父さん!」
「こんなに早く、息子に収入を超えられるとは…正直、少し悔しいな━━━オホンッ、俺のプライドは置いておいて、それは唯人が一生懸命頑張って稼いだ金だ。親としては、自分のために使ってほしいと思っている」
「そうね」
「ありがとう。でも息子としては、父さんと母さんには安全な場所に居てほしい。その方が、ハンター活動により集中できる」
「「…」」
「俺の身勝手な我儘だし、仕事の関係もあると思うけど、考えておいてほしい」
「…分かった。父さんと母さんで、よく話し合っておく」
「お願いします」
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