第60話 格闘戦も熟す漆黒大騎士
ボス部屋に入ると、ここまでの回廊と同じ━━━整然とした石壁に、四方を囲まれていた。
頭上から光球が十個と、一回り大きい光球が降ってきた。それらの光球が一斉に眩しく輝き、十一体の魔物が姿を現す。
十体はここまで何度も討伐したリビング・アーマーで、残りの一体は禍々しい漆黒の全身鎧を身に纏い、身の丈ほどの大剣を所持していた。
そして一番目を引くのは、首から上が存在せず、自身の頭部を手に抱えていた。
「名称は、デュラハンか。リビング・アーマーより能力値やスキルレベルが高いのは当然として、一つ気になるスキルがあるな」
少しの間思考していると、デュラハンに動きがあり、自身の頭部を真上に投げた。その頭部は落下することなく、浮遊したままこちらを見据える。
そして、ヘルムのスリット部分から覗く赤色の光が、周囲に赤色の波動を放つ。しかしいくら待っても、俺の身体や精神に変化はない。
「何だったんだ、今のは?」
よく分からないが、無効なら気にすることはない。次はこちらの番だというように、【風魔法】を行使した。
「ウィンド・スラッシュ」
巨大な風の刃がリビング・アーマー達を通り抜け、丈夫な全身鎧を容易に両断する。
『Lv.52にUPしました』
『魔力が16UPしました』
『筋力が20UPしました』
『頑丈が31UPしました』
『敏捷が16UPしました』
『知力が16UPしました』
『精神が29UPしました』
『器用が20UPしました』
『幸運が20UPしました』
リビング・アーマー達とは何度も戦ってきたので、今更得られるものはない。さっさと討伐して、デュラハンに集中する。
短剣を構え、デュラハンの挙動を注視していると、ゆっくりと歩き出し、次第に速くなる。
装備の重さを感じさせない移動速度で目前まで迫ると、鋭く大剣を振り下ろす。轟音とともに、亀裂が後方まで伸びていく。
そのまま横薙ぎに振るわれた大剣を、二つの短剣で受け止める。続いて下から掬い上げるように振るわれた大剣を、後方に飛んで回避する。
デュラハンはすぐに距離を詰めて、先程よりも鋭く重く、大剣を振り下ろす。容易に大剣を受け止めると、横腹を蹴り飛ばされる。
空中で体勢を整え、着地と同時に走り出し、激しく短剣と大剣が衝突する。
「オラァ!」
大剣を強引に弾き、さらに接近し、ガラ空きの胴体目掛けて短剣を振るう。しかしデュラハンは、身軽な動きで身を翻し、俺の側頭部に蹴りを放つ。
咄嗟に短剣で防御するが、少し吹き飛ばされてしまう。空中で体勢を整え着地すると、俺とデュラハンは改めて向き直る。
「【体術】は所持していないようだが、格闘戦も熟せるようだし、お前は強いよ」
でも、もう十分楽しんだし、とっとと終わらせよう。
「俺が得意なのは、不意をつく戦い方なんだよ。暗殺者だからな」
【隠密】で姿を消し、上空に浮かぶデュラハンの頭部の真下に移動する。そして大きく跳躍すると、短剣で両断した。
その直後、デュラハンの身体も電池が切れたように、地面に沈んだ。
『魔力が22UPしました』
『筋力が28UPしました』
『頑丈が39UPしました』
『敏捷が22UPしました』
『知力が22UPしました』
『精神が42UPしました』
『器用が25UPしました』
『幸運が27UPしました』
『【打撃耐性】Lv.8にUPしました』
『【斬撃耐性】Lv.8にUPしました』
『【刺突耐性】Lv.8にUPしました』
『【眼光弱化】Lv.7を獲得しました』




