第56話 大人の色香は危険!
彼女達の後ろをついていき、〈全癒の戦乙女〉が拠点にしている高層ビルを訪れていた。
周囲を見渡しても、すれ違うハンターを見ても、女性の比率が圧倒的に多い。
(女性ばかりだからか、建物内はいい匂いが充満しているなぁ)
思春期の男子的なことを考えていると、豪著で大きな扉の前で、彼女達は足を止める。
コンコンコン
「聖母様。松原唯人様をお連れしました」
「入りなさい」
部屋の主の許可を得て、扉をゆっくりと開け放つ。応接用のソファに座り、左右にBランク以上の女性ハンターを控えさせ、こちらを見つめる女性。
「さぁ、こちらに座ってくださいな」
女性に促され、高価なソファに腰を下ろす。そして姿勢を正し、改めて目の前の女性を注視する。
20代後半くらいのお淑やかな女性で、神聖そうな法衣を身に纏っている。そして、先程から必死に視線を向けないようにしている、彼女の豊かな胸。
法衣をこれでもかと押し上げ、はち切れそうな豊満な胸。〈焼滅の女帝〉が巨乳なら、この女性は爆乳。
(とても母性溢れる女性だ。聖母という名にピッタリだ)
「初めまして、松原様。私は、菊池穂乃果と申します。〈治癒の聖母〉と呼ばれているSランクハンターです」
「既にご存知だと思いますが、俺は松原唯人です。Bランクハンターです」
「さて、お互いの自己紹介は済みましたね。部下から話は聞きました。〈炎帝軍団〉の勧誘を断ったそうですね?」
「はい」
「理由をお聞きしても、よろしいですか?」
「実は、勧誘を断ったのは〈炎帝軍団〉だけじゃないんです。〈剣王〉からの勧誘も断りました」
「そうですか…」
「断った理由は、命を危険に晒して得た報酬が分配になるからです。それも、自分の力で事足りてるのに、あえてクランに所属し、分配する必要はないと思っています」
「なるほど。唯人さんがクランに所属する理由は、あまり無いように思います。現在の攻略状況は、どんな感じですか?」
「既にAランクダンジョンを二つ、ソロで攻略しています」
こう答えると、〈治癒の聖母〉と左右に控える女性ハンター達は、一瞬目を見開き、すぐに平静を装う。
「素晴らしいです。私を含めて部下達は、【神聖魔法】に特化している者が多く、優秀な前衛はいつでも歓迎しています」
「そうですか」
「それに先程の話ですけど、お金は分配することになりますが、宝箱から武器類が出た場合、唯人さんに全てお渡ししても良いと考えています」
「なるほど」
「他のクランと比べても、私達は後衛、唯人さんは前衛。役割が明確ですので、これまで通り戦うことができます。怪我や状態異常は私達が治癒しますので、とても安心ですよ」
そう言いながら隣に腰を下ろし、その爆乳を密着させてくる。いい匂いなのも相まって、内心ドキドキが止まらない。
(これは…Aランクダンジョンのボスよりも、強敵だ)




