第40話 記者に囲まれる
翌日。朝食と身支度を済ませ、玄関で靴紐を結ぶ。そして、勢いよく立ち上がり━━━
「パンッ! よし、今日も頑張ろう!」
頬を叩き、気合いを入れて踏み出そうとした時、ポケットから携帯の着信音が鳴る。電話の相手は、ハンターギルドの職員だった。
「もしもし」
「おはようございます。ハンターギルドの清水です。昨日のスタンピードの件で、松原様の昇級が決定いたしました。つきましては、ハンター証の更新手続きのため、一度ハンターギルドに寄って頂けますか?」
マジか! Bランクへの昇級が決定したってことは、Aランクのダンジョンに挑戦できるってことじゃん!
「すぐ行きます!」
「お待ちしております」
電話を切ると、玄関のドアを勢いよく開け、駆け出した。
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「ん?」
ハンターギルドの入口前に到着すると、そこには大勢の人集りができていた。カメラやマイクを持っていることから、この人達は記者だろう。
(中に、Sランクハンターでもいるのかな?)
俺も少し気になりつつ、人集りに近づいていき、声をかけようとした時━━━
「あ!」
マイクを持った女性が俺のことを指差し、声を上げる。その声を聞いて、周りの記者達が一斉に振り返る。
直後、何故か記者達に囲まれる俺。訳がわからず、混乱していると━━━
「松原唯人さん! 昨日のスタンピードをたった一人で終息させたことで、新たなSランクハンターの誕生かと、国民が注目しています! それについて、どう思われますか?」
「百匹近い魔物の群れを、一瞬で殲滅した魔法はとても凄かったです! 松原さんは、やはり魔法系のハンターなのでしょうか?」
「ハンター歴も短いCランクハンターでありながら、Aランクハンターでも手古摺る魔物を討伐して見せました。どのようにして、それほどの強さを手に入れたのですか?」
矢継ぎ早に質問を投げかける記者達。質問に答えようとすると、次の質問が飛んでくるため、どうしようか戸惑っていると、入口から一人の男性が出てきた。
「皆さん、落ち着いてください。彼が困っています。それと、出入りの邪魔になっていますので、勝手な取材は遠慮してください」
男性の言葉を聞き、記者達の勢いは鳴りを潜める。男性がこちらに近づいてくると、記者達は道を開ける。
「初めまして。私は、ギルド長の小川忠明と申します。さぁ、中へどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
スタンピード終息後、ギルド長の面会の申し入れを断ったので、この状況は少し気まずい。
足早に、ハンターギルドの入口を潜った。




