第4話 レベルアップ
余程疲れが溜まっていたのか、俺が目覚めたのは13時過ぎだった。手早く身支度を済ませると、ラップに包まれた昼食を食べ、昨日と同じダンジョンに向かった。
競争率の高い入口付近を避け、奥へ奥へと進み、遭遇したゴブリンを討伐していった。討伐する度に能力値が上昇するので、昨日よりも余裕を持って討伐できている。
三匹目を討伐して解体作業をしていると、四匹目のゴブリンが目の前に現れた。一旦解体作業を辞めて戦闘態勢に入ると、背後から物音が聞こえた。
目の前のゴブリンへの警戒を怠らず、背後に視線を向けると、五匹目のゴブリンがいた。
「マジか! 流石に二匹同時に相手するのは、難しいぞ…」
額から頬にかけて一筋の汗が流れ、唾をゴクリと飲み込む。まずは二匹を視界に収めるため、ゆっくりとその場から移動する。
それに合わせて、下卑た笑みを浮かべながら二匹も動きだし、足を止めた瞬間同時に襲いかかってきた。
やはり、二匹同時に相手取ることは難しいと感じ、背後へ回り込むように迂回し、逃走することにした。
追いかけてくる二匹を撒くため、ジグザグに走り続け、無事に撒くことに成功した。しかし、俺の目的はただ逃げることではない。
再度、逃げてきた方へ少し道を逸れて、慎重に進み始める。
(いた!)
おそらく追いかけてきたゴブリンだと思うが、一匹だけで周囲をキョロキョロと見渡していた。
(これなら、問題なく勝てる!)
気配を消して背後へ回り込み、一気に駆け出して斬り伏せた。
「グギャ…」
『魔力が1UPしました』
『筋力が1UPしました』
『頑丈が1UPしました』
『敏捷が1UPしました』
『知力が1UPしました』
『精神が1UPしました』
『器用が1UPしました』
『幸運が1UPしました』
『【棍棒術】Lv.3にUPしました』
その後、そこまで離れていない場所でもう一匹のゴブリンを発見し、同じように斬り伏せた。
『Lv.2にUPしました』
『魔力が1UPしました』
『筋力が1UPしました』
『頑丈が1UPしました』
『敏捷が1UPしました』
『知力が1UPしました』
『精神が1UPしました』
『器用が1UPしました』
『幸運が1UPしました』
『【剣術】Lv.1を習得しました』
「よっしゃ! レベルアップだ!」
昨日と今日合わせて十匹のゴブリンを討伐し、ついにレベルが上がった。そして、新たにスキルを習得することができた。
この達成感や充実感を現実で体感できる日が来るとは、感慨深いものだな。
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近くの木の根元に腰を下ろし、水筒のスポーツドリンクで水分補給をする。そして、少しだけステータスウィンドウを表示し、今後について考える。
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(更新された部分のみ表示)
・Lv.2(1UP)
【能力値】
・魔力 21(11+10)
・筋力 28(11+17)
・頑丈 16(6+10)
・敏捷 21(11+10)
・知力 21(11+10)
・精神 16(6+10)
・器用 23(6+17)
・幸運 21(11+10)
【スキル】
[戦闘系統]
・【剣術】Lv.1(NEW)
[魔物系統]
・【棍棒術】Lv.3(1UP)
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今後についてとは、このダンジョンのボスに挑戦するかどうかだ。ボスは、ゴブリンの上位種━━━ホブゴブリンだ。
ホブゴブリンは、成人男性と同じくらいの身長があり、各能力値は20前後。所持スキルは、【棍棒術】のみ。
何故、これだけ詳細な情報を知っているかというと、【看破】という対象のステータスを視れるスキルが存在し、ハンターギルドのサイトで公開されているからだ。
ホブゴブリンの討伐推奨レベルは、レベル10以上となっているが、俺の能力値であれば、討伐可能だと思っている。
頑丈値と精神値がホブゴブリンより劣っているが、ホブゴブリンは魔法を所持していないので、精神値は無視していい。
不安があるのは、頑丈値のみ。
「安全に討伐するなら、最低でも20まで上げる必要があるか。残り四匹のゴブリンを討伐すれば最低値に到達するわけだし、それから挑戦するとしよう」




