第34話 悪戦苦闘するハンター達
親子を近くのシェルターに送り届けた後、俺は他に逃げ遅れた人がいないか、周囲に視線を巡らせ、街中を駆けていた。
倒壊し炎や黒煙が立ち昇る建物が目立ち、トロールに殺された人達の死体と血痕が飛び散り、空気は熱く血生臭い。
携帯で現在の状況を確認する。現地のアナウンサーが深刻な表情で、逐次詳細な状況を報告している。
配信者が興奮した様子で、ハンターとトロールの戦闘を実況している。大勢の視聴者が集まり、コメント欄の動きが激しい。
判明した状況は、先程討伐したトロールのように、単独で行動している個体は僅かであり、ほとんどの個体はトロール・キングに率いられているようだ。
破壊と殺戮を繰り返し、移動を続けるトロールの群れに対して、多くのハンター達が対峙しているが、討伐には至っていない。
「対峙しているハンター達のランクが低いんだろうな。大手クランはまだ間に合っていないようだし、早く討伐しないと、被害は拡大する一方だ」
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トロール・キング率いる百匹近いトロール達が、煩わしいハンター達を蹂躙する。
「や、やめろ! くっ…離せ! 離しや━━━」
トロールの大きな手に捕まり、大きな口に放り込まれる。バリッボリッとハンターを噛み砕き、喉を鳴らす。
口元から大量に血を滴らせ、別のハンターに狙いを定める。その不気味な笑みを見て、魔法士の女性が一歩後退り、腰を抜かしてしまう。
「ア、ア、ア…キャーーーーー!」
トロールの大きな手が間近に迫り、魔法士の女性が頭を抱えて悲鳴を上げる。すぐに他のハンターがフォローに回り、魔法士の女性からトロールを引き離す。
ここに集結しているハンターは、最高でBランク。対峙しているトロールの群れを相手にするには、力不足だ。
今回の討伐難易度を考えると、複数のAランクハンターやSランクハンターが必要になる。このままでは、ここにいるハンターは全滅必至だ。
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「皆! 今回のスタンピードに対して多くの勇敢なハンター達が集結したんだ! 今も命懸けで戦っているんだが、状況は芳しくない。もう何人もハンターが喰い殺されている…早く! 早く、Sランクハンター来てくれ!」
ハンター達の様子を、遠目から撮影している配信者の男性。視聴者に対して、悲しみの籠った声音で実況をしている。
コメント欄は、戦っているハンター達を応援する言葉やSランクハンターを呼ぶ言葉が、物凄い勢いで流れる。
戦っているハンターの心が挫けそうになり、視聴者も悲観的になる中━━━
一匹のトロールが喉を掻きむしるように苦しみ始め、膝から崩れ落ちた。




