第3話 初日の戦果
「グギャ…」
『魔力が1UPしました』
『筋力が1UPしました』
『頑丈が1UPしました』
『敏捷が1UPしました』
『知力が1UPしました』
『精神が1UPしました』
『器用が1UPしました』
『幸運が1UPしました』
『【棍棒術】Lv.2にUPしました』
三匹目のゴブリンを討伐し、近くの木の根元に腰を下ろす。戦闘の緊張感から解放され、思わず息を吐く。
周囲の警戒や戦闘、解体作業など、慣れない環境での活動が大きなストレスとなり、重く自分に伸し掛かる。
「ふぅ…よし! あと二匹、二匹討伐したら、今日は帰ろう」
最初から無理をすれば、負わなくて済んだ怪我をしたり、最悪命を落とす可能性もある。
立ち上がり尻の土埃を払うと、入口のほうへ方向転換し、残り二匹の討伐目指して歩き始めた。
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ダンジョンを退場すると、空は夕焼けに染まっていた。
ハンターギルドからの出張所であり、素材と魔石の検分・買取をしてくれる建物に向かい、換金を済ませる。
「右耳五個と魔石五個の買取は、10,000円。普通に働くサラリーマンよりは稼げてるが…」
ハンターは、武具など消耗品の買い替えや整備が必要になるため、お金の消費が激しい。
それを考えれば、まだまだ稼ぎは少ない。ハンターを続けるためにも、毎日コツコツ稼ぎ続けることが大事になる。
忘れずにハンターの必需品を取り扱っている店により、解体用ナイフや水筒などを購入する。
「ただいま!」
「お帰りなさい。お風呂沸いてるから、先に入ってきなさい」
「分かった」
お風呂で汗と疲れを流し、母さんが作ってくれた料理に手を伸ばすが、あまり食欲が無い。
「どうした?」
「父さん…ちょっと食欲が無くてね」
「そうか。今日はどうだった? 念願だったダンジョンに行ってきたんだろ?」
「想像以上に大変だったよ。周囲の警戒を怠ることはできないし、魔物と戦うのは命懸けだし、解体作業はグロテスクで何度も吐いたよ」
「想像と現実のギャップに苦しむことは、よくあることだ。煌びやかな活躍から勝手に妄想し、実体験で現実を知り心折れる者も多いだろう」
「そう、だね…」
「それで、お前はこれからどうするんだ?」
「俺は諦めないよ。確かに現実を目の当たりにしたけど、魔物との戦闘や素材換金で達成感もあったし、まだまだ頑張るよ!」
「唯人、無理だけはするなよ」
「分かった」
父さんと話したことで気持ちが楽になり、少し食欲が湧いてきたので、料理に手を付け始めた。
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夕食を食べ終え、自室のベットに寝転がり、ステータスウィンドウを表示する。
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(更新された部分のみ表示)
【能力値】
・魔力 15(10+5)
・筋力 18(10+8)
・頑丈 10(5+5)
・敏捷 15(10+5)
・知力 10(10+5)
・精神 10(5+5)
・器用 13(5+8)
・幸運 15(10+5)
【スキル】
[魔物系統]
・【棍棒術】Lv.2
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今日は目標通り、ゴブリン五匹を討伐した。ゴブリン一匹討伐する毎に、魔力値、筋力値、頑丈値、敏捷値、知力値、精神値、幸運値━━━全能力値が1ずつ上昇した。
10%分が加わった結果であれば、ゴブリンの全能力値は、10以上だったということ。あるいは、小数点以下を四捨五入するのであれば、5以上だったということ。
今回の件で最下級のEランク魔物は、能力値が10前後ということが分かった。
そして、スキルの分類に視線を移すと、新たに[魔物系統]が追加されていた。
「【棍棒術】って何だろ?」
遭遇したゴブリンは、全て木の棍棒を所持していた。スキルとしてあるということは、棍棒の扱いが上手くなる的なスキルだろうか?
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【棍棒術】Lv.2
棍棒の扱いが習熟し、攻撃または防御動作に補正がかかる。筋力+2、器用+2
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スキルの詳細説明には、予想通りの内容が表記されていた。なので、一番驚いたのは、スキルの獲得でも能力値が上昇すること。
とても嬉しい情報が判明したわけだが、一つ気になることがある。それは、これが[魔物系統]のスキルのみなのか、ということ。
これは後々、他の系統のスキルを獲得した時、見比べてみれば分かることか。
本日の戦果を確認し終えると、疲れが溜まっていたせいか、すぐに深い眠りについた。
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