第26話 昇級
コンコンコン
「失礼します!」
扉をノックして、マスターの執務室に入る。机の上で書類と睨めっこしている男は、〈キング・オブ・ソード〉のクランマスター━━━鈴木天星だ。
「マスター、今戻りました」
「ご苦労様です。例のハンターとは、接触できましたか?」
「はい」
「それは、良かったです。それで、彼の返事は?」
「クランへの加入は断られましたが、協力者として契約を結ぶことになりました」
「そうですか。断った理由については?」
「戦利品や報酬の分配が不満だったようです。一応、ソロの危険性について言及しましたが、それでも考えは変わりませんでした」
「だから、拘束力の低い協力者として、契約することにしたんですね?」
「その通りです」
「分かりました。後は他のクランに彼が取られないよう、今後の交流が大事になってきますね」
「はい。ですが、この知らせを聞いて、クランメンバーの中には、納得できない者もいると思われます」
「そうですね。彼はまだ、経験も浅くランクが低いですから、実力を疑う者も多いでしょう。なので、どこかで彼の実力をテストする機会を設けましょう」
「分かりました」
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翌日。俺はダンジョンへ行く前に、ハンターギルドに訪れていた。今朝、職員から昇級の連絡があったからだ。
「手続きが終了しました。これで松原様は、Cランクハンターとなり、Bランクのダンジョンまで挑戦することができます。これからも頑張ってください」
「ありがとうございます」
受付でハンター証の更新手続きを終えると、タクシーを止めて杉並区のBランクダンジョンへ向かった。
ダンジョンのランクが上がるにつれて、入口で屯するハンターの数が少なくなっている。
ただハンターの質は高く、上質な武具を身に纏い、隙のない立ち振る舞いのハンターばかりだ。
入口を潜ると、見晴らしのいい草原が広がっていた。しかし、ハンター達と戦っている魔物は、とても凶悪だった。
縦長の耳、白い体毛に覆われた丸い身体、筋肉が発達した強靭な足、鋭い鎌を所持した兎の魔物━━━ヴォーパルバニー。
腰を落とし短剣を構え、目の前の魔物に集中する。すると、一瞬で姿が消え、背後に移動した魔物を【生命感知】が捉えた。
首を斬り落とす勢いで振るわれた鎌を、短剣で防御する。何度か戦う中でこの魔物は、執拗に首を狙ってくることが分かった。
【気配隠蔽】や【魔力隠蔽】、【隠密】のレベルが高いので、普通のハンターが対処するには、隠蔽系のスキルより感知系のスキルレベルが高いことが必須だ。
再度、首を目掛けて振るわれた鎌を回避し、短剣で袈裟懸けに斬り伏せた。
『魔力が7UPしました』
『筋力が9UPしました』
『頑丈が7UPしました』
『敏捷が7UPしました』
『知力が7UPしました』
『精神が7UPしました』
『器用が9UPしました』
『幸運が8UPしました』
『【鎌術】Lv.4を獲得しました』
『【異音感知】Lv.4を獲得しました』




