第25話 息子が心配な父と母
コボルト・キングを討伐して、出現した宝箱からは、一本の短剣を手に入れた。魔法陣で外に戻り、鑑定を依頼する。
「これは、〈コボルト・キングの短剣〉です。一つ目の効果は、短剣による与ダメージを30%増加。二つ目の効果は、敏捷値と器用値+30です」
「ありがとうございます」
鑑定料を差し引いた報酬を受け取り、帰路につく。
「さて、メインウェポンはどちらにするかな?」
今、手元にある武器は、〈ゴブリン・キングの大剣〉と〈コボルト・キングの短剣〉。性能はほぼ一緒で、唯一の違いは、増加する能力値が違うだけだ。
俺の戦い方は、基本的に【気配隠蔽】や【魔力隠蔽】、【隠密】で完全に存在を消し、不意をつく戦い方だ。
なので、どれだけ速く相手に接近できるかが、重要になる。
大剣は、その重さを活かした一撃の威力には優れているが、移動速度が遅くなり、動作は大振りになる。
短剣は、大剣に比べて一撃の威力は劣るが、移動速度の邪魔にならず、動作は最小限になる。
一長一短ではあるが、今の俺にとって合っているのは、短剣の方だろう。ステータスも筋力値の方が高いので、敏捷値を補強する意味でも、今後は短剣を使っていこう。
「ただいま!」
「お帰りなさい」
お風呂で汗を流し、夕食を食べながら、父と母に今日の出来事を話す。
「今日さ、国内で一番有名なクランの人に、勧誘されたんだ」
「あら! 凄いわね!」
「それは、とても嬉しいことだな。それで、どうするんだ?」
「結論を言うと、クランに入らないけど、協力者として契約するんだ」
「協力者?」
「協力者は、クランが対応に困っている時に、要請の連絡が来る感じ。要請に応じるかは任意だから、断ることもできる」
「簡単に言うと、そのクランの助っ人ってことよね! 唯人の力が評価されて、お母さん嬉しいわ!」
「自慢の息子だ。それに、とても光栄なことだな。唯人、頑張れよ」
「うん」
「そういえば、ダンジョン攻略はどんな感じだ?」
「順調だよ。今はCランクダンジョンに挑戦していて、既に三つも攻略したよ」
「そうか。今も、一人で攻略しているのか?」
「そうだよ」
「…正直に言うと、父さんと母さんは心配なんだ」
「心配?」
「先日も、犯罪を犯したハンターがニュースになっていたし、ダンジョン内も危険という話だからな」
…既に人を殺したことがあるなんて、口が裂けても言えないな。
「勿論、ソロが危険なようなら、パーティーを組むことも考えるよ。心配しないで」
「あぁ、分かった」
夕食を食べ切り、自室に向かう。眠りにつく前にスキルポイントを消費して、【隠蔽】のレベルを上げた。
『【隠蔽】Lv.5にUPしました』
ブックマーク登録とリアクションで、作者を応援してください!
感想もお待ちしております!




