第23話 クランへの勧誘
今日は、初めてPKパーティーに遭遇したダンジョンへやってきた。あの時は逃走したため、まだ未攻略なのだ。
「よし! さっさと攻略━━━」
「すみません。松原唯人さんでしょうか?」
一歩踏み出そうとすると、突然背後から声をかけられた。振り返ると、スーツを着た真面目そうな男性とキリッとした綺麗な女性がいた。
「えっと…?」
「私達は、クラン〈キング・オブ・ソード〉に所属するハンターです。私は、田中茂雄と申します」
「私は、渡辺絵梨と申します」
まさか国内で最も有名なクランの方から、声をかけてもらえるとは…どんな用件だろうか?
「はい、俺が松原唯人です。それで、何か用ですか?」
「唯人さんにお話がありまして、声をかけさせて頂きました。場所を変えて、少しお話できませんか?」
「分かりました」
彼等の後についていき、個室のあるカフェに入る。「好きなものを頼んで頂いて、結構ですよ」と言われたので、メロンソーダを注文した。
メロンソーダが運ばれ、一口飲んで喉を潤すと、茂雄さんが話し始める。
「貴重な時間を頂き、ありがとうございます。単刀直入に言いますと、クランへの勧誘になります」
マジか! 大手クランから勧誘される日が来るとは、素直に嬉しい! でも、どんな理由で俺を勧誘することになったんだ?
「どうして俺を?」
「クランの活動として、有望なハンターの情報収集は欠かせませんから。唯人さんは、既にDランクに昇級しており、Cランクダンジョンも攻略しているようですね。しかもソロで」
「はい」
「正直、唯人さんの昇級速度や攻略速度は、前代未聞です。しかも、それがソロだというのだから、国内のSランクハンター達と比較しても、一際才能があるでしょう」
「ありがとうございます」
「これらのことから私達は、唯人さんがユニークスキルを所持していると、考えています。それも、とても強力なユニークスキルを」
そこまでバレてるとは、驚きだ。でも前代未聞という話なら、そう結論づけるのも理解できる。
ただ、ユニークスキルはその希少性から、安易に所持していることを明かすのは、とても危険だ。
「話は分かりました。ですが、俺はユニークスキルを所持していません」
彼等の考えを否定すると、二人は俺の様子を注視し、真偽を確かめようとしている。だから俺は、目を瞑ってメロンソーダを飲む。
「…そうですか。ですが、実力があるのは事実です。私達としては、是非クランに加入して頂きたいのです」
否定されても、その実力の根拠について説明がなかったので、まだ彼等の考えは変わらないようだ。
「加入するかどうかは、詳しく説明を聞いてからでも、いいですか?」
「勿論です。クランの主な活動は、資源調達やスタンピード防止のためにダンジョンを攻略したり、犯罪を犯したハンターの捕縛に協力したりします」
ダンジョン攻略以外にも、危険な仕事もしてるんだな。
「もしクランに加入して頂ければ、様々な支援が受けられます。パーティーの人選や武具などを提供したり、社宅に無料タダで住むこともできます」
大手クランであれば、高価な武具やアイテムがあるだろうし、住居が無料タダなのは、とても有難いな。
ここまでで、特にデメリットは無いが…。
「クランに加入することで、発生する義務などはありますか?」
「はい。クランから要請があった場合は、基本的に必ず応えて頂きます」
面倒臭い話だが、まだ許容範囲だ。
「それだけですか?」
「それだけ、とは?」
「ご存知の通り、私はソロで活動していますが、クランに加入しても、変わらずソロで活動できますか? それと、宝箱から入手した武具やアイテムは、どうなりますか?」
「…有望なハンターには、できるだけ安全に活動して頂きたいと思っています。私達としては、こちらで人選したクラン員とパーティーを組んで頂きたいです。武具やアイテムについては、入手したパーティーに適性がある者がいれば、優先的に使用して頂きます」
パーティーを組むことは、決定事項のようだな。確かにソロは危険だが、その分経験値や戦利品は独占できるから、早く強くなるなら、絶対にソロの方がいい。
それに、連携や戦術を考えて戦うのは面倒臭いし、他人の命を守り切れる自信も無い。
「…すみませんが、お断りさせて頂きます」
ブックマーク登録とリアクションで、作者を応援してください!
感想もお待ちしております!




