第21話 連絡先の交換
「怪我は、ありませんか?」
廊下の壁に背を預け、こちらを見つめる女性に声をかける。女性はゆっくりと立ち上がり、深く頭を下げる。
「助けてくれて、ありがとうございます! 怪我してないので、大丈夫です!」
「それは、良かったです。それと、頭を上げてください! 偶々通りがかっただけですから!」
「そういうわけにはいきません。偶々とはいえ、私の危機を救って頂いたのですから!」
「本当に気にしないでください」
これ以上は困らせるだけだと思ったのか、女性がゆっくりと頭を上げる。
「それで、何故あのような事態になったんですか?」
「実は━━━」
女性から詳しい話を聞き、改めてコイツらは性根の腐った奴等だったんだなと、思った。
「本当に無事で良かったです! それでこの後なんですけど、ボスを討伐しに行きませんか?」
「えっ…ち、ちょっと待って! 二人だけでボスを討伐するの!? 流石にそれは、無理だよ!」
「安心してください。ボスは、俺一人で討伐しますから。それに来た道を戻るより、早く外に戻れますよ?」
「た、確かに、ボスを討伐した方が時短にはなるけど…流石に危険だよ!」
「ですが、来た道を戻るなら、何度も戦闘することになります。その方が、却って危険だと思います」
「うーん…」
「それと信じられないかもしれませんが、ソロ討伐は初めてじゃありません。その証拠に、コイツらを一人で倒したでしょう?」
「…分かった。ついていくわ」
了承してもらえたので、早速ボス部屋へ向かう。光球が一際眩しく光り輝き、スケルトン・キングが出現すると同時に━━━
「後ろに下がっていてください!」
指示を出すと、女性は頷き後方へ走り、俺はボスに向かって駆け出す。スケルトン・キングの強さは、ゴブリン・キングと大差なく、共通してハイブリッドだった。
ということは、今更苦戦する相手ではなく、構えた円盾ごと袈裟懸けにし、一瞬で討伐した。
『魔力が8UPしました』
『筋力が8UPしました』
『頑丈が8UPしました』
『敏捷が7UPしました』
『知力が8UPしました』
『精神が7UPしました』
『器用が9UPしました』
『幸運が7UPしました』
ボスが消失し、宝箱の中身を回収すると、女性の元へ向かう。
「お待たせしました。さぁ、戻りましょう」
目を見開き、唖然としている女性の肩を揺する。
「…あ、はい」
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「それじゃ、俺はこれで失礼します」
「ま、待って!」
別れの挨拶を済ませ、その場を立ち去ろうとすると、女性に呼び止められた。
「どうしました?」
「貴方の名前を教えて。私は、高橋泉!」
「俺は、松原唯人です」
「歳は、いくつ?」
「18歳です」
「18歳!? てことは、高校を卒業したばかりでしょう。それで、あんなに強いなんて…私の方が歳上だから、唯人って呼んでいい?」
「はい」
「じゃあ、トクフリのIDを交換しようよ! 助けてもらったお礼もしたいしさ!」
「いいですよ」
連絡先の交換を済ませると、泉さんは再度お礼を述べて、その場を立ち去った。俺は、素材の売却とアイテムの鑑定依頼に向かう。
「これは、〈怨念の呪符〉です。効果は、対象の精神を侵し、自死させることができます。しかし、成功確率は、対象の精神値に左右されます」
「分かりました」
「それで、松原様にお願いがございます。このアイテムは非常に危険ですので、ギルドの方で買い取らせて頂けないでしょうか?」
「買取ですか?」
「はい。ギルドではこういう類のアイテムを積極的に買い取り、未然に悪用されることを防いでいるのです」
「なるほど。では、買取をお願いします」
「ご協力、感謝します!」
トクフリとは、Talk Freeというアプリの略称。完全無料で個人やグループでチャットができ、電話で会話も可能。
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