第19話 人気の無い場所で
休憩を終えると、俺の住む場所━━━新宿からタクシーに乗って、杉並区へ移動する。近場のダンジョンは、コボルト種のダンジョンを除いて、ほとんど攻略したからだ。
勿論、コボルト種のダンジョンも攻略するが、ボス━━━コボルト・キングが厄介だ。能力値は俺の方が高いが、【隠密】を所持しているため、苦戦するだろう。
なので、戦闘が有利になるスキルを獲得するため、このダンジョンへやってきた。周囲は、枯れ果てた木と墓石が並び、冷んやりとした空気が頬を撫でる。
ゴクリ
思わず、唾を飲み込む。ホラーが苦手な俺にとっては、あまり長居したくない場所だ。俺のようなハンターも珍しくないため、ここは不人気ダンジョンの一つになっている。
墓石の間を進んでいると、突然土の中から、白骨化した手が出てきた。姿を現したのは、刃毀れが酷い長剣と円盾を所持したスケルトン・ナイトと、ボロボロのローブを身に纏い、杖を所持したスケルトン・マジシャン。
二種に共通しているのは、【生命感知】を所持していること。このスキルの前では、気配や魔力を隠蔽し、【隠密】で姿を消しても、全く意味が無いのだ。
だから、真正面から戦うしかないわけだが…。
「それなら、能力値が高い俺の方が有利なんだよな」
斬り合いで長剣を破壊し、円盾ごとスケルトン・ナイトを斬り伏せる。そして、魔法を放たれる前に距離を詰めて、スケルトン・マジシャンも斬り伏せる。
『Lv.13にUPしました』
『魔力が5UPしました』
『筋力が4UPしました』
『頑丈が4UPしました』
『敏捷が4UPしました』
『知力が5UPしました』
『精神が4UPしました』
『器用が4UPしました』
『幸運が4UPしました』
『【生命感知】Lv.3を獲得しました』
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私の名前は、高橋泉。将来は学校の先生として働くのが夢で、大学に通っている二年生だ。
普段は真面目に勉強に取り組む大学生だが、暇な時間はハンターとして活動している。
オシャレを楽しんだり、友達と遊んだりするにもお金がかかるため、普通のバイトよりは稼げるハンターを選んだ。
命の危険と隣り合わせなのは怖いが、仲の良い友達とパーティーで活動するのは、とても楽しかった。
それに運良くCランクに昇級でき、一日当たりの金額が増えると、達成感もあった。今日は私とパーティーメンバーの予定が合わず、どうしようか悩んでいた。
そこに声をかけてきたのは、同じ大学の同級生だった。顔見知り程度だったが、彼等もメンバーが一人いないということで、臨時でパーティーを組むことになった。
テレビや新聞で、ダンジョン内で犯罪が横行していることは知っていたが、実際に被害に遭ったことはなく、どこか他人事だったのだ。
彼等と向かったのは、不人気ダンジョンの一つだった。雰囲気と出現する魔物を見れば、不人気と言われる理由が分かった。
初めて訪れるダンジョンだったが、彼等の実力と連携は確かなもので、順調に攻略は進んだ。
ボス部屋の前まで辿り着くと、彼等は突然立ち止まる。
「どうしたんですか?」
すると、彼等は振り返り━
「もう君のご機嫌取りは、疲れたんだよね」
「…えっ? それは、どういう意味ですか?」
彼等の纏う雰囲気が変わり、同じ笑顔なのに不気味に感じる。
「さて、ここまで連れてきてあげたんだから、お礼はしてもらわないとね」
「ど、どういうことですか!? お礼も何も、私達はパーティーじゃないですか!」
「パーティー? ハハハ! そう思っているのは、お前だけだよ!」
「僕達がお前を誘ったのは、ダンジョンを攻略するためじゃない。ここで君を辱めるためだ」
「な、何を言って━━━」
「前から君のことは、可愛いと思っていたんだ。ここなら、誰かに邪魔される心配もないしね」
「なぁ、もういいだろ? もう我慢できねえって」
「僕も、君が泣き叫びながら許しを請う姿を、早く見たくて堪らないよ」
まさか、自分が犯罪に巻き込まれるなんて…は、早く、逃げなくちゃ!
「おっと、逃がさねぇよ」
両手首を掴まれ、組み伏せられる。
「誰か! 助けて!」
「ハハハ! こんなところに、誰も来るわけないだろ!」
そして、男の手が私の胸を鷲掴みにしようとして━━━
「や、やめてー!」
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