第18話 有望なハンターの情報
唯人がカフェで休憩している同時刻、ハンターギルドに一人の男が訪れていた。その男は、国内で初めてのSランクハンターであり、〈キング・オブ・ソード〉のクランマスターだ。
クラン名の由来は、彼のジョブ━━━【剣王】を、そのまま用いたかたちだ。
彼がハンターギルドを訪れた理由は、有望な新人ハンターをスカウトするためだ。そろそろ一週間が経過し、中には頭角を現すハンターもいる頃だ。
周囲から向けられる視線を気にすることなく、上の階へ続く階段を上り、ギルド長の執務室の扉をノックする。
「お久しぶりです。忠明さん」
「あぁ、久しぶりだな。天星」
久しぶりに会う二人は、力強く握手をすると、応接用のソファに腰を下ろす。
「すまないが、二人分のお茶を淹れてきてくれ」
「承知しました」
ここで二人について、簡単に説明する。50代に差し掛かった初老の男性━━━ギルド長は、小川忠明と言い、ハンターギルドが創設された時から、ギルド長を務めている。
30代の細身の男性は、鈴木天星と言い、上級職の【剣王】に就いている、数少ないSランクハンターだ。
しかも、【剣術】に至っては、レベル9に到達している。
「それで? 今日は、どんな用事で来たんだ?」
「多くの新人ハンターが活動を始めて、一週間が経とうとしています。単刀直入にお尋ねしますが、有望なハンターはいますか?」
「そういうことか。君のクランは、多くのAランクハンターが所属しているが、Sランクダンジョンは、未だ攻略できていなかったな」
「その通りです。AランクとSランクでは、難易度が桁違いです。前回の攻略でも、多くの死傷者を出してしまいましたし…。現状を打破するには、今の内から有望なハンターを育てないといけません」
「スタンピードは、大丈夫そうか?」
「ボス以外の魔物は、なんとか間引けていますので…今のところは、大丈夫です」
「…本来であれば、いくら君のお願いでも、個人情報を教えることはダメなんだが…事情が事情だからな。分かってはいると思うが、強引な手段で勧誘はするなよ」
「勿論、分かっております」
「名前は、松原唯人。現在は、Dランクだ」
「既に昇級しているんですね。特筆すべき点は、何でしょう」
「彼は、昇級して間もないのに、Cランクダンジョンを攻略している。そして、活動状況から判断するに、おそらく彼は…ソロで活動している」
「それは…異常ですね。一週間足らずで、Cランクダンジョンを攻略したのは、彼が初めてじゃないですか? しかも、ソロで…まさか!」
「あぁ、私も同じことを思った。彼は、ユニークスキルを所持しているだろう。でなければ、この異常な成長速度に説明がつかないだろう」
「もしこれらが事実なのだとしたら、とても強力なユニークスキルを、所持していることになります。…このことは、他のクランには?」
「まだ、知らない。君と同じように尋ねられれば、教えることになるがな」
「分かりました。では、私はこれで失礼します」
「あぁ、久々に君と話せて良かったよ。これからも頑張ってくれ!」
「はい!」
二人は再度、固い握手を交わした。




