第42話 全制覇の余韻と帰還
メガロドンから変異強化したシーサーペントを討伐し、国内のAランクダンジョンを全て制覇した達成感に浸っていると、不意に称号獲得の通知が響いた。
(【到達者】……か。どんな効果があるのか気になるが、今は宝箱が優先だな)
目の前、海中にふわりと浮かぶ宝箱へと手を伸ばし、中身を確認する。
中には、シーサーペントの龍鱗や魔石といったボスの素材と、剣身が海のように真っ青で、打ち上げられた波飛沫を思わせる紋様が刻まれた短剣が、二つ収まっていた。
早速、短剣を手に取り【鑑定】を発動する。
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・名称 水龍海戦の短剣
・分類 短剣
・効果
①水の抵抗による威力減衰などの影響を受けることなく、短剣を振るうことができる。
普通の短剣としても、使用可能。
②不壊特性
③筋力値+80、器用値+80
・等級 神話級
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これはまた、凄い武器だ。
水の抵抗による影響を受けないということは、今回のように魔法を行使することなく魔物と戦えるということを意味する。
本領を発揮するのは水中戦だが、地上でも問題なく扱えるというのは、あまりにも汎用性が高すぎる。
宝箱の中身を確認し終えると同時に、ボス部屋を満たしていた海水が静かに引いていき、徐々に水位が下がっていった。
海面から顔を出すと、ボス部屋の壁に一箇所だけ、ぽっかりと穴が開いているのが見えた。
その場所まで泳いでいき、まだ何か待ち受けているかもしれないと警戒を緩めずに穴の中へと進む。
「なんだ、帰還用の魔法陣か」
穴の先には六畳ほどの小空間が広がっており、帰還用の魔法陣が淡く光を放っていた。
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魔法陣で外へ戻ると、そのままギルドの出張所へと向かった。
受付職員に素材の売却を告げ、広いスペースへ移動して〈マジック・ポーチ〉からオーガ・シャークの死体を次々と取り出していく。
「こ、この数を……お一人で討伐されたのですか?」
「はい」
「海という特殊な環境では、長年通い続けているAランクハンターでも、討伐に相当な時間がかかります。それなのに、お一人でこの数を……流石です、松原ハンター」
「ありがとうございます。それと、こちらの素材についてお聞きしたいのですが……ダンジョンボスが変異することは、ご存知ですか?」
「把握しておりますが……まさか!?」
「はい。このダンジョンのボスも変異強化しまして、メガロドンからシーサーペント——水龍のような魔物へと変化しました」
「ほ、本当ですね。素材の鑑定結果にも、シーサーペントとあります……」
「国内のAランクダンジョンは全て攻略しましたが、例外なく全てのボスが変異強化していました」
「強さは、やはりSランク相当でしたか?」
「はい。ただ、変異強化が起こるのは配下を全滅させてボスが魔石を喰らうことが条件なので、ボスを最優先で攻撃するなど、未然に防ぐ手立てはあります」
「配下の横槍を警戒しながら、最優先でボスを討伐する……それは、現実的に可能なのでしょうか?」
「ま、まぁ……頑張ればいけるんじゃないですか。それより、素材の買取額を教えていただけますか?」
「あ、失礼しました! オーガ・シャーク十八匹分の買取額は5億4,000万です。シーサーペントの素材については、結果が判明次第お振り込みいたします」
「ありがとうございます」




