第37話 オーガ・エンペラー討伐
松明の灯りに照らされた長い廊下を歩き、ボス部屋の重厚な扉を開けて中へ踏み込んだ瞬間、十一個の光球が頭上から降り注いだ。
十体のオーガ・ベルセルクと━━
身長がオーガ・ベルセルクの倍近くあり、もはや巨人と呼んで差し支えない魔物━━オーガ・キングが、その威圧的な姿を現す。
普通に考えれば、高層ビルさながらの巨体から繰り出される拳撃や蹴撃を捌きつつ、分厚い筋肉の鎧のように物理・魔法の両攻撃を跳ね返す頑強な肉体を突破しなければならない。
討伐に相当の苦労を強いられる魔物だ。
本来、Aランクハンターがパーティーを組んで挑む格の相手だが━━能力値やスキルレベルが高いだけのボスなど、【隠密】の奇襲で容易く仕留められる。
「まぁ、用があるのは変異強化後のボスだからな」
早速〈マジック・ポーチ〉から〈百足王の死毒短剣〉を取り出し、【隠密】で気配ごと姿を消す。
周囲に視線を巡らせ、必死に俺の姿を探すオーガ・ベルセルク達の間を音もなく駆け抜けながら、次々と首を斬り落としていく。
先程まで立っていた場所へ戻り、姿を現す。
それと同時に、オーガ・ベルセルク達の首が一斉に地へ落ちた。それほどまでに、刹那の出来事だった。
『Lv.99にUPしました』
『魔力が16UPしました』
『筋力が20UPしました』
『頑丈が31UPしました』
『敏捷が18UPしました』
『知力が16UPしました』
『精神が31UPしました』
『器用が16UPしました』
『幸運が20UPしました』
「邪魔者はいなくなった。俺とお前の一騎打ちだ。さぁ、どんな風に変異するか見せてくれ」
言葉を解さないオーガ・キングだが、斃れた配下達の無念を晴らすかのように、オーガ・ベルセルク達の死体へ手を伸ばし、次々と魔石を喰らい始める。
全ての魔石を喰らい終えると、変異が始まった。
高層ビルのようだった巨体はみるみると縮まり、およそ三メートルほどに落ち着く。
血のような赤色だった肌は、深い黒へと変色した。
変化は外見だけにとどまらず、能力値やスキルレベルも大幅に上昇し、オーガ・キングはオーガ・エンペラーへと変異強化を遂げた。
「グゥオオオオオ!」
【覇気】を乗せた雄叫びが、部屋全体を震わせる。
直後、その場から一瞬で姿が消えた。
瞬間移動と見紛うほどの速度で目前に迫ったオーガ・エンペラーが、顔面目掛けて鋭く拳を振り抜く。
しかし、その鋭い拳撃はあっさりと片手で受け止められる。
続けて顔面目掛けて繰り出された蹴撃も、またも片手で難なく止められた。
「その程度では、俺を倒せないぞ。だから━━【狂暴化】が発動するまで追い込んでやる」
【手加減】を発動し、その場で軽く跳躍する。身体を鋭く回転させ、オーガ・エンペラーを回し蹴りで吹き飛ばした。
三メートルの巨体が弾丸のように床を転がり、オーガ・エンペラーは沈黙する。
しかし、能力値やスキルの通知は聞こえない。まだ生きている。
倒れたオーガ・エンペラーを見据えながら、ゆっくりと歩み寄る。すると、奴はゆっくりと身を起こし、再び雄叫びを放った。
大気を揺るがすほどの咆哮。その獣のような目が、真紅に染まっていた。
理性を失う代償に筋力・頑丈・敏捷の各能力値を約三倍に膨れ上がらせたオーガ・エンペラーが、凄まじい速さで肉薄し、俺の左側頭部へ蹴りを叩き込む。
防御した左腕を伝う衝撃は、先程とは比較にならないほど重い。だが、Sランク相当の魔物が強化されたところで、能力値はおよそ3,000。
強化されてなお、俺とオーガ・エンペラーの能力値には八倍近い開きがある。つまり━━最初から相手にならなかったということだ。
己と俺の力量差も分からず無駄に暴れ続けるオーガ・エンペラーの頭部を、一撃の蹴りで消し飛ばす。
頭部を失った巨体が、音を立てて地に沈んだ。
『魔力が37UPしました』
『筋力が46UPしました』
『頑丈が69UPしました』
『敏捷が41UPしました』
『知力が37UPしました』
『精神が69UPしました』
『器用が37UPしました』
『幸運が46UPしました』
『【狂暴化】Lv.8にUPしました』
目標1,000PTを目指しています!
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