第8話 変異強化の検証
ボス部屋の重厚な扉を開け中に入った俺は、五体のイエティと五体のスノウ・メイデン、そしてダンジョンボスと対峙していた。
ダンジョンボスは姿形はイエティと全く同じだが、これまでのボスと同じように巨大化するわけではなく、身長は3メートルくらいまで縮んだ。
一見脅威度が下がったように感じるが、それは間違いだ。能力値やスキルレベルはイエティより高い上に、機動力があるからだ。
断然、目の前のボス━━━オールマイティ・スノウマンの方が強い。しかも、イエティとスノウ・メイデンのハイブリッドで、【氷魔法】も行使してくる。
それじゃ、戦闘開始といこう!
〈バルムンク〉を握り直し、【隠密】で姿を消して、一気に駆け出す。まずは魔法攻撃を封じるため、スノウ・メイデンから討伐する。
難なく真下まで接近すると、両足の膝から下を斬り落とし、体勢を崩す。そして、両足から大量の血飛沫を上げ倒れたところに、首元目掛けて〈バルムンク〉を振り下ろす。
そのまま足元を移動し、二体目三体目を討伐したところで、【隠密】の有効時間が切れた。
「ファイアー・レイン」
「ファイアー・ソーズ」
四体目に火球の雨を降らせ、五体目に周囲に生成した炎剣を一斉に射出する。【火魔法強化】で知力値が1.9倍に強化されているので、スノウ・メイデンは大ダメージを受け、踠き苦しんでいる。
いくら【火魔法耐性】でダメージを軽減できても能力値に差があるので、【蒼炎化】を使うまでもなかった。
踠き苦しみ隙だらけの四体目と五体目にトドメを刺し、五体のイエティに向き直る。すると、オールマイティ・スノウマンが動き出した。
こちらに駆け寄りながら大量の氷柱を生成し、俺の頭上に降り注ぐ。威力は、遥かにスノウ・メイデンよりも強い。
身体に当たる氷柱だけを見抜き、〈バルムンク〉で斬り落とす。そして、雪が舞う向こう側から、拳を突き出したオールマイティ・スノウマンが迫る。
拳を左手で難なく受け止めると、〈バルムンク〉の腹で側頭部を殴打し、オールマイティ・スノウマンを吹き飛ばした。
邪魔者は大きく吹き飛ばしたので、標的をイエティに定める。こちらから距離を詰めるのは面倒なので、【挑発】を発動し、五体のイエティを引きつける。
その剛腕から繰り出される破壊的な拳撃を躱し、再度【隠密】で姿を消す。既に五体とも〈バルムンク〉の間合いなので、スノウ・メイデンと同様に膝下を斬り落とし、首元に〈バルムンク〉を振り抜き、トドメを刺す。
という流れで配下を全て排除すると、イエティの身体から魔石を取り出す。度々オールマイティ・スノウマンが襲いかかってきたが、殴り飛ばしたり蹴り飛ばしたりして、スノウ・メイデンからも魔石を取り出せた。
そして、クイーン・アントがエンプレス・アントに変異強化したアレが、オールマイティ・スノウマンに起きるのか確かめるため、十個の魔石を奴の前に放り投げる。
果たして、一体どうなるのか。俺はワクワクした気持ちで、奴の様子を見続けた。




