第29話 調査終了。また今度
一発目の検証方法が成功し、クイーン・アントがエンプレス・アントに変異強化した。周囲の大気が軋むほどの雄叫びを上げた後、エンプレス・アントはこちらに睨みつける。
「さぁ、再戦といこうか。ただ、一瞬で終わるけどな」
俺の言葉を理解していないはずだが、エンプレス・アントは戦意を昂らせ、勢いよく突っ込んでくる。
消えたと錯覚するほどの速度で迫り、鋭い鉤爪を振り下ろす。その威力は、斬痕が入口に待機している調査隊まで届くほどだ。
鉤爪を【短距離転移】で躱した俺は、周囲に視線を巡らせているエンプレス・アントの背後から、素早く〈バルムンク〉を振り抜く。
『魔力が37UPしました』
『筋力が37UPしました』
『頑丈が69UPしました』
『敏捷が37UPしました』
『知力が37UPしました』
『精神が69UPしました』
『器用が41UPしました』
『幸運が41UPしました』
「一度戦った相手だし、俺はあの時よりさらに強くなっているわけだから、苦戦する理由はないよな」
エンプレス・アントの死体を〈マジック・ポーチ〉に収納していると、目の前に宝箱が現れた。
(スタンピードの時は、宝箱は現れなかったが…もしかして、変異したとしてもダンジョン内で討伐すれば、攻略報酬は貰えるのか!?)
まぁだとしても、スタンピードの時にその場にいるかは運なわけで。タイミング良くその場にいたら、ボスは絶対にダンジョン内で討伐することを忘れないでおこう。
宝箱を開けるとボスの素材以外に、何も書かれていない紙が一枚入っていた。
とりあえずこの紙は一旦収納しておいて、ソルジャー・アントの死体も回収し、調査隊に合流した。
「お待たせしました。エンプレス・アント出現の原因は、魔石を喰らったことによる変異でしたね」
「…そ、そうですね。ただ、魔石の質や量がどのように関わってくるか、それも調査が必要です」
「なるほど。ですがそれを調べるなら、ランクの低いダンジョンから調査するべきです」
「Aランクダンジョンのボスだから、Sランク相当の魔物に変異した可能性がありますしね」
「はい。Eランクダンジョンのボスであれば、Dランク相当の魔物かもしれません。そうなれば、わざわざSランクハンターを護衛に付ける必要がなくなります」
「そうですね。安く済むのは、とても助かります」
「俺の方でも、情報提供させて頂きます。先程の戦闘で分かるように一瞬で討伐できますので、他のAランクダンジョンでも試してみたいと思います」
「ありがとうございます」
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
調査を終えた俺達は、魔法陣で外に転移した。そのまま解散となり、俺は松本さんと話をしていた。
「松原さん! めっちゃカッコよかったです! よくあの攻撃に反応できましたね! 俺だったら、絶対に死んでましたよ!」
「まぁ、一応Sランクなんで」
「Aランクでも、一般人からしたら化物ですけど、Sランクは俺達ハンターから見ても、化物でした!」
「化物って褒め言葉なんですかね…それより、お店を紹介してくれた上に会計まで、本当にありがとうございました」
「いえいえ、気にしないでください! それと、今夜もどうでしょう? いい店があるんですよ」
「いえ、今日はもう帰る━━━」
「その店は限られた人しか知らないんですけど、お触りありの舞妓の店です。しかもチップを弾めば、もっとスケベなことができます。どうですか? 行きたくないですか?」
「そ、それは………めっちゃ気になりますけど、き、今日は帰ります! こ、今度、そのお店を紹介して頂けますか?」
「勿論です! いつでも連絡してください!」
「次は、俺が奢りますよ」
「松原さん! おおきに!」
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