第27話 衝動を遮断するアイテム
外に戻ってきた俺は、早速ハンターギルドの出張所に向かい、素材と買取とアイテムの鑑定を依頼した。
指示された場所にレッドキャップの死体を50匹並べると、職員達は口をあんぐり開けて、驚いていた。
「お、お待たせしました! レッドキャップ50匹とレッドキャップ・リーダーの素材買取額は、1億200万になります」
(これだけ大量に討伐すれば、Bランクダンジョンでも億は稼げるか。何度もやれるわけじゃないけど)
「続いて鑑定結果ですが、こちらのアイテムは、〈干渉遮断のチョーカー〉と言います。一つ目の効果は、スキルや武器、アイテムによらない精神干渉を遮断することができます」
「ん? それら以外に、何か精神に干渉してくるモノはありますか?」
「あります。称号です」
「称号…あ!」
【シリアルキラー】のことか! あれは殺意に敏感になり、殺意を抱く者を殺すまで、殺戮衝動が抑えられない効果がある。
つまりこのチョーカーがあれば、殺戮衝動を遮断し、理性的に対処できるということ。これは、とても有難いアイテムだな。
(しかし…すぐに『称号』と即答したということは、職員は【シリアルキラー】のような称号を知っているわけか)
たとえ自己防衛のための殺人であっても、【シリアルキラー】を獲得したということは、十人も殺害している証拠になる。
あまりハンター自ら情報提供するのは抵抗がありそうなものだが…まぁ、存在を認知していると思った方がいいか。
だが、対策が何もされていないように感じる。理性的に対処できれば、ハンター同士が争ったとしても、捕縛という手段が取れる。
資源調達と魔物の脅威から国民を守るハンターは、貴重な戦力だ。その損失は、なるべく抑えるべきだと思うけど…。
(〈猛進の拳鬼〉の奴等も、全員身に付けていなかったしなぁ)
まぁアイツらは、人を殺すことに慣れてそうだったし、わざわざ殺戮衝動を抑える必要はないって思ってそうだけど。
「すみません。このチョーカーって、あまり入手頻度は高くないんですか?」
「Bランクダンジョンの攻略報酬の中でも、希少な部類です。攻略報酬の大体の傾向として、ボスに関連するアイテムが多いですから」
「なるほど」
Bランクという中級上位のダンジョンで入手でき、その中でも希少な部類になると、ハンター自身で入手することも、ハンターギルドで大量に確保することも、難しいか。
できることなら力になりたいが、Bランクダンジョンの攻略はそれほど楽しくないし、慈善活動でやるつもりはない。
結局のところ、ハンターは自己責任だしな。
ただ、一般市民が殺意を抱いた場合が問題だ。内心で思っただけなのに殺されるのは、流石に厳しすぎる。
もういっそのこと、日本全土を覆う干渉遮断結界があればいいのになと思う。
(あぁでも、ダンジョン内まで効果が及ぶが分からないか…)
駄目だ。もう考えるのが疲れた。
「ありがとうございました」
職員にお礼を言い、帰路についた。その途中で、松本さんと一緒に訪れた舞妓さんの店に寄った。
スタンピードが発生した夜、緊急のことで会計を済ませていなかったためだ。しかし、既に松本さんが会計を済ませてたみたいで、急いで連絡をし、お礼を伝えた。
宿泊先であるビジネスホテルに戻ると、ベッドに寝転がり、一人で大人な時間を楽しんだ。
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