悪魔の正体。
「なんなの!?悪魔って何!?佑太君どうして!?」
「・・・僕は、君の知っている、さっきまでの佑太では無い」
「意味分かんない!!うっ・・・頭がぁっ・・・・・・!?」
「亜和、少しの間おとなしくしててね」
そう言って佑太は亜和の腹を殴った。
痛みと疲労のせいか、あまり効いていないのに気絶してしまった。
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「マタモドッテキタカ」
「君は・・・いる・・・」
「アノトキノセンタクハドウシタ!?〚アキモト〛トカイウヤツヲコロシタノカ!?」
イルはものすごく怒っていて、どこか恐怖を覚えるような気迫を持っていた。
「・・・・」
「オマエ!!ボクガセッカクイキカエラセテヤッタノニナンナンダ!!」
「・・・・・」
「キミニハボクノゼンチカラヲアタエタノダゾ!!!ソレデ〚ユメアンカ〛マデデキルヨウチカラヲヒキダシタノモボクナノニ!!オマエハ!!!!」
「・・・・」
「ナニカシャベッタラドウダ!!!コノクソアクマ!!!!!!」
そして亜和は口を開き、イルに伝えた。
「・・・・悪魔はそっちだよ」
「ナニヲイッテイル?タシカニボクガチカラヲアタエタガ、コノアクマテキノウリョクハキミノセンザイノウリョクノオカゲダ。アタママデオカシクナッタカ?」
「違う。私に潜在能力なんて無い。一切無い、私はただの子供。悪魔じゃない」
「ドコカラソンナコトヲオモエルヨウニナルンダ」
「あなたの教えてくれた事実は全部嘘。そして私自身で思い出した記憶、童話に苦しむのは私じゃない。イル、いや・・・・悪魔の少女という昔話の主人公の名前は、イル。あなたが、本当の悪魔少女」
そう告げると、イルは固まり始め、首から上が次々と現れ始めた。
イルの顔は何処となく童顔な感じで、髪は肩より少し長く、顔の形は整っていた。
二重の目、高くはないが低くもない鼻、綺麗な薄い唇、薄い眉毛。
この顔は、まるっきり亜和のと一緒だった。
「ありがとう、当たりだよ。私が悪魔少女。そしてあなたの一部」
「うん。分かってる。佑太君のおかげでとりもどせた」
「良かったね。私も本当の私を取り戻せたでも・・・」
「でも?」
「佑太、いや違う。秋元佑太。すなわち君の父は私の人格を取り除こうとアナタの精神世界に入ってきた」
「・・・・・」
「私は、死にたくない。このままアナタの一部でいたい!」
「・・・・・」
「何で黙ってるの!?私はアナタの憧れた悪魔少女!!取り除かれるなんて癪じゃないの!?」
「・・・・・」
「ねえ!!!!!」
「イル、聞いていい?」
「な、何?」
「イルはなんで童話を恐れているの?」
「恐れてなんていない。恐れる必要がない」
「じゃぁなんであの時苦しんだの?」
「苦しんでなんかいない!!!!私に恐れ-----------------------
亜和はイルを優しく、そっと抱いた。
「離して!!離して!!!!」
「私もはアナタに憧れていた。でも、もう度がすぎるの」
「そんなこと無い!!だってアレは--------」
「イル、私たちは生きちゃいけないの。もう、ダメなんだよ」
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「亜和、亜和・・・・亜和!!!」
はっとして目を開けた。
父が目の前にいて、私は病院のベットの上にいた。
「・・・・ここは・・・・・・病院?」
「いや、私の研究所だ」
「け・・・ん・・・きゅうじょ・・・」
「そうだ。お前は、ずっと寝ていたんだ」
「・・・・?ずっと?」
「そうだ、ずっと」
「・・・・・・!?嘘よ!!!イルは!?真夜ちゃんは!?兎雫丸君に佑太君は!?」
「なんのことだ?お前、体調悪くして学校から帰ってきて研究所で寝たんじゃないか」
「嘘よ!!!お父さんが佑太君で、真夜ちゃん、イル、兎雫丸君が私の人格で・・・・・・・」
「・・・頭でも打ったか?」
「打ってない!!!だからーもう一回最初っから言うよ!!!」
そう言って何回も何回もお父さんに説明したが、お父さんは笑うだけだった。
そうして月日が流れた。
私の頭の中にある母は、アバズレだったが何故か今は優しくてケバくない母。
妹がいて、仲のいい家族の風景だ。
おかしい。
おかしすぎる。
夢でこんなに長いのは見た覚えは無いし、首が飛ぶ映像なんてそう何回も見ていないのに秋元鎌矢という男の首を刎ねた記憶は鮮明だ。
だいたい、夢で見たこともない人の顔がでてくるはずがない。
そんなことを思いながら今日を過ごしている。
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「あーわー!!朝よー!降りてきなさーい!!!」
「はーい」
お母さんの元気な大声が聞こえ、私はダラダラと返事をした。
階段を下り、洗面所へ向かった。
顔を洗おうと、前髪をくくった。
すると、おでこに何かがあるのに気付いた。
「何これ・・・?ニキビかなー?やだなー」
そう言って少し触ってみた。
なんだか硬い。
ニキビとは違う。
この硬さはきっと-----------------
覚醒時の・・・・ツノだ。
亜和の顔が青ざめた。
それと同時に、求めていた答えの確信に近づいた。