悪魔の知りたくなかった。
「なんかあんのかよ・・・・・?」
「あぁ。07号の血液をもっと精密に調べたんだよ。驚くことを発見した」
「なんだよ」
秋元はニィっと笑い、愉快に言った。
「07号は今までには比べ物にならないほどの成功作。すなわち、07号1人で国を破壊できるんだよ」
馬鹿げたことを言っているのかと思った。冗談であってほしかった。
でも、秋元はウソをこれまで1回も言っていない。
当然真夜も驚いた。
「ウソだろ・・・・。亜和が・・・・確かに、あの力はアタシでも抑えられないほどだった。けど・・・・」
「へぇ。見たんだ。07号の力」
「・・・・・・まぁ」
秋元はこれまた愉快そうに笑い、嬉しそうに話しはじめた。
「この子は05号。即ち君の兄、海斗君以上の成功作。05号は一瞬で全てを眠らせる力をもっていた。言わば催眠術、超能力。しかし、07号は眠らせるではなく、殲滅、破壊の力を大きく持っている。ありえないほどに。僕でさえこの力を抑えることが出来るのかイマイチだしね・・・・」
亜和も真夜も考え込んでしまった。
ありえない。
「あの・・・・」
「なんだい?07号」
「なんで・・・・ですか・・・・・」
「え?」
亜和は涙を流していた。
大きな飴玉のような大粒の涙を流していた。
「何で・・・・・私なんですか・・・・」
「あぁ。理由ね。簡単簡単」
「は?」
秋元は笑って亜和に近づいて耳元で小さな、それでもハッキリ聞こえるそんな声で言った。
「君の体は元々ウィルスに適合しやすい体に"作られている"のだから」
「え・・・・・・・・・・・」
「亜和、コイツ今なんていったんだ?」
亜和が真夜に答えようとしたが、秋元が先に言った。
「君の父と母の職務は何だか知ってるかい?」
「・・・・・父はサラリーマンで、母はスパーでパートを・・・・」
はははははははっウソだろ?そう言った。
「2人とも僕の部下だよ。それも幹部さ」
「ウ・・・・・・ウソ・・・・」
「うそじゃないさ。君、小さい頃から薬を投与されているのも気づいてないの?」
「薬・・・・・?」
「いや~、僕も知らなかったんだよ最初はさぁ。でもさ、君の両親が"自主的"に君に薬を投与にていたんだよ。いやぁ、君も悲しい子だねぇ・・・・笑えてくる。最高だよ君の両親は」
亜和は何も考えることが出来なかった。
頭が・・・・・髪が白く、銀色に、瞳も赤黒く。
真夜は亜和の異変に先ほど以上に驚いていた。
「ホラ、もっと見せてよ。君の"覚醒"をさぁ」
言われるがままになのか。亜和の異変はどんどん進行していった。
額が割れる様にでてきた角。
背中が裂けるように出てきた黒い翼。
爪がグっと長くなる。
牙も猛獣のように鋭く尖っている。
「良いねぇ。ホラ、手始めにそこの失敗作を殺しなよ」
秋元は真夜のことを指をさしながら言っていた。
亜和は真夜の方を向いた。
そして、大鎌を手で握り一瞬で真夜の目の前に着いた。
「亜和・・・・・・ウソだよな?なぁ」
「ムリだよ。07号は理性が飛んでる」
亜和は真夜に向けて鎌を振り上げた。
しかし、振り下ろせない。
「07号、早く殺れ」
「亜和・・・・・・お前・・・・・・・アタシが分かるのか?」
「ぁあぁああぁ」
亜和は唸っている。
「07号、さっさとしろ」
「なぁ。オメーに聞きたいことがある」
「なんだい?」
「なんで理性がぶっ飛んでる亜和がオメーの言うこと聞いてるんだよ」
「あぁ。単純さ。"僕"だからさ」
「はぁ?」
「言ってなかったっけ?」
「なにがだよ」
秋元は笑いながら言った。
「僕も能力者だよ」
真夜は驚き、動揺した。
「あああぁぁあぁぁあぁ」
亜和がまた唸り始めた。
「お。動き始めたか」
「亜和・・・・・お前・・・・・なぁおい」
「うぅぅあぅああぃあぁぃ」
そして、亜和は鎌を振り落としてしまった。
「いいぞ。07号」
「お前を研究室に迎えよう」