【鈴の音に促され 其の弐】
【鈴の音に促され 其の弐】
そうして僕は津田との出会いから昨年の秋頃の出来事を話し終えた。
「津田を佐倉ゼミにぶち込んだのは我ながらよい判断だったな」なんて、渡会教授が満足げで少し可笑しかった。ゼミ生が他にいない渡会ゼミに居るよりも、同年代の僕らとつるんでいるほうが津田のためになるということだろう。
そこへ、丹波が複雑な面持ちをしながら問いかけてきた。
「想い出話は羨ましいし、聴いててとっても楽しいんですけどぉ、あの、なんでそこまで、三堀さんは津田さんと喧嘩するんですか」
三堀がケッと吐き捨てて「べーつーにぃー?」とはぐらかすが、佐倉教授にまでじろりと睨まれ、両手を上げて降参した。そして助けを求めるように二木を見て、その視線を受けた二木は言いにくそうに
「や、心当たりが無いわけじゃねぇけど、俺は、その……楽しく喋っていい立場じゃないだろ」
と俯いてしまう。その時。
かららん、こん、ちりん。
僕の貝守りの鈴が突然取れて、隣に座る二木の足元に転がった。それをそうっと拾う二木に
「ほら、鈴がお前を指名したぞ、鶴。いくつかあいつの話をしてやってくれ」
渡会教授が珍しく優しい口調で言った。