表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ユメノハナシ

ユメノハナシ ~猫の夢~

作者:
掲載日:2025/03/17

ずっと前から――そうだったでしょ。


猫を飼うことにしたの――


動物嫌いの妻がそう言ったので驚いた。

庭に猫が居着いているのは知っていたが、まさか家で飼うことになるとは。


呼ぶとすぐに来るのよ、ほら――

妻が声をあげると、青い目の生き物が駆け寄ってきた。


獣の臭いがする。


乱れた歯並びの牙に、終始外へ出された長い舌と荒い息――


これは――


犬じゃないか。


何言ってるの、猫じゃないの。

ずっと前から――()()()()()でしょ。


そうだったっけ。

ぼんやりとそう思っていると――


目が覚めた。


変な夢を見たよ、と妻に言いながら茶色い毛の猫に水をやる。

霧吹きで水をかけてやると、器用に口の中に溜めて飲み下しているようだ。


あら、そう――

妻はそう言ったあと、困ったように続けた。

それより、この家で新しく一緒に暮らすことになった人達のことなんだけど――


妻は(いや)そうな顔で言った。


仕方がないだろう、身寄りがないらしいから――

二人とも外国人だから、なおさら大変だろう。


一人はいいんだけど、あの、角の部屋に住む事になった方の人は――厭だわ。

だって蜘蛛を飼ってるじゃないの。


確かに、大きな蜘蛛を腕に乗せていた。

じきに慣れるさ――

気づくと、猫はぼたぼたと水を口から(こぼ)していた。


そこで再び――目が覚めた。


変な夢を見たよ。


(くるぶし)まで溜まった水をじゃぶじゃぶとかき分けながら、私は妻に言った。

リビングに水が溜まっているということは、浴室の掃除中なのだろう。

シャワーを浴びたかったが、掃除中なら仕方がない。


ふと、庭のフェンスが破れていることを思い出した。

尖った金属が剥き出しで、猫が通る時に危ないかもしれない。


そう妻に伝えると、

大丈夫よ、もう玄関まで来てるじゃない――

妻はそう言った。


玄関には――

大きな黒い犬が二頭並んで座っていた。


犬の荒い息遣いを聞きながら――

飼っていたのは猫じゃなかったっけ、と首を(かし)げた。


そこで――



ようやく目が覚めた。



飾ってある遺影と――



目が合った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ