彼らが会うまでどのくらい?
星 新一氏
宇宙人が来るって? 恒星間の距離を考えたことがあるのか?
(うろ覚えなので、このような文章ではなかったかもしれません )
誤字指摘ありがとうございます。
ある物体が、地方都市の郊外に墜落した。
調査を担当した文部科学省の公務員の彼は興奮した様子で上司に報告した。
「確かに飛行機、もしくは宇宙船といえる外観をしています。資料を見てください、今のところ動きはありません。また、おとなしくしています。と、言うより故障している感じです。この大きさなら無人機と思われます。外部の金属は非常に硬度が高く、それでいて柔軟性かあります」
彼は、地方から発見された物体を調査していた。そして、現在の地球の技術では作成出来ない存在と考えた。
「この物体の調査、研究を行う許可、並びに予算の提供をお願いします。この物体の調査ができれば我が国の、いえ、地球全体の文明に大きく貢献します。是非とも」
だが、彼の上司は答えた。
「ああ、すまんが許可も予算も出せない」
「なぜですか?」
「いや、最近不景気で、追加予算を申請するのも難しい。国会議員にも打診したのだが、それよりは経済や福祉、教育に力を入れてくれ、とのことでな」
「そんな」
「特に今の世論はコンプライアンス重視。生活重視だよ。税金の不明瞭な使い道は世論が叩いてくるからな」
意気消沈する彼に、上司はさらに追い討ちをかける。
「それに、同盟しているあの大国に、あの物体を引き渡すことになっている。勿論秘密裏に、だ」
「そんな、国益を考えると」
「下手したら地球外の知性体と関連していると政府高官は認識している。なら、あの同盟国ならば軍備も国力も我が国より上だ。対処能力は我が国より上だ。仕方ない」
公務員の彼は、肩をおとした。
そして、一月後。 同盟国軍事施設内。
「この物体の調査はどうするんですか」
上司に聞く特務調査員。
「ああ、予算がつくまで凍結だな。ここも、ロケットや航空機、ロボットなどの開発で予算が降りないんたよ。まあ、もう少ししたらいくらか回ってくるたろうが」
「でも、現行の予算ではまるで足らないんですよ」
「仕方ない、昔の、月挑戦の時みたいに無制限の予算を出せる状況ではないんたよ」
ところかわって、ある惑星。
「おい、あの惑星調査ブローブ、まだ見つからないのか?」
「はい、故障したみたいで」
「アホか。1個揃えるのにどれだけ手間が掛かると思ってるんだ?」
「でも、無人ですし、お金もかからないでしょう?」
「いや、ちゃんと監査が入るんだよ。ちゃんと運用しているか、コンプライアンスは遵守してるか、横領とかしてないか、とか。備品1個でも厳しいんだよ。いくら空間測量の為とはいえ、遠隔ではコントロール難しいからな。しかも、政治家さんのパフォーマンスで予算の見直しとか監査とか増えてるし」
「何ですか、それ」
「とりあえず、無人ブローブは一度全機メンテナンスだな。それと捜索。ま、しばらくしたら予算申請しよう。最も通るかはわからんが」
「世知辛い世の中ですね」
「まったくだ 」
こうして多くの壁(特に予算の壁)の為、彼らが接触することはしばらくなかったのである。
結局、お金が大事なのだよ。




