2.何だこの奴隷は?
前回までの登場人物
勝彦:最低ランクDのフクロウ族
セミ店員:奴隷を紹介する怪しい男
◎地下1892階
勝彦は口をあんぐり開けて、めちゃくちゃ驚いた。
なぜなら、勝彦の理想の女性モンスターが、
なんとヨボヨボで白髪のおばあちゃん人魚に変化した。
しかも、ゆっくり湯飲みでお茶を飲んでいた。
目を擦って何度も見たが、変らなかった。
(どうゆう事? どうゆう事? どうゆう事?
落ち着けー。落ち着けー。
こう時こそ冷静になるんだ。
よし、調べてみよう)
動揺した心を落ち着かせて、モンスターを調べた。
『ステータス ターゲット オープン』
心の中で勝彦が魔法を唱えた。
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【名前】おばば(女)
【種族】人魚族
【全体ランク】C1
【HP】 C1:154(頭:12 体:49腕:23 足:70)
【魔力】 C1:162
【力】 C1:85
【回避】 C1:92
【命中】 C1:85
【防御】 C1:94
【魔法防御】C1:98
【特殊能力】C1:お茶を飲む(消費魔力1)
:飲むと落ち着く
【説明】 ・・ ・・
現役を引退し老後を満喫。魔力が1番ある。
【好きな事】お茶を飲む事
【状態】余命が近い
【注意事項】買わない方が良い
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(何でーーーーーーーー(〇_〇)!!
さっき見た時は、凄い数値だったのに、
最低ランクのC1じゃん。全く使えない。
どうゆう事? どうゆう事? どうゆう事?)
凄く混乱する勝彦。
「お客様。何をそんに驚いてるんですか?
さぁ。契約書にサインをお願いします。
さぁ。どうぞ。どうぞ。どうぞ」
セミ店員が鳥の羽が付いたペンを渡して、
サインを書かせようと急かしていた。
「いや。買わない」
「お客様。さっきは買うっていたじゃいですか?
何なら、もっと安くしますよ?」
「何でお茶を飲んでるおばちゃん人魚がいるんだ?」
「え? それは、その・・・・ゼミゼミ」
目が泳いで動揺するセミ店員。
「ボクに幻覚を見せたな」
「いやいや。そんな事はありませんゼミ」
首を左右に振った。
「何で酸素マスクを付けてるんだ?」
「これは・・・・」
「じゃ~。取ってよ」
「それは出来ません」
「何で?」
「それは・・・その~」
返答に困って、頭から汗が止まらない止まらない。
「正直に言え。さもないと他の人に言いふらすぞ」
「それは止めて下さい。言います。言います」
拝むように両手を揃えて言った。
「実はこの場所は、
その人が望む幻覚を見せる所なんです。
売れ残ったモンスターを売るために、
幻覚を見せて売っていたんです」
「詐欺じゃん。ひどい事するな~。
どおりで甘い匂いがしたわけか」
手で鼻を抑えながら言った。
「ですです。申し訳ありません」
へこへこと謝った。
「もういい。帰る」
「解りました。それで、他の人に言いませんよね」
おそるおそる聞いてきた。
「ああ。言わない。その代わりに口止め料だ」
手でクイクイと要求した。
「それは、ちょっと難しいかと。
その代わりに、人魚モンスターはいかがですか?」
湯のみでお茶をゆっくり飲んでいるおばちゃん人魚を指して言った。
「いるかーーーーーーー( ̄△ ̄)!!」
大声で言った。
「そう言われましても。
店員なんでビビたる給料しか貰ってないんです」
しょんぼりした顔で言った。
「では、奴隷に使う首輪をくれ」
「え? そんなので良いんですか?」
ぱっと顔が明るくなるセミ店員。
「ああ。その代わり、最高級の首輪をくれ」
「解りました。
ウチでは沢山の首輪を大量に安く仕入れてますから、
余っている分をお渡しする事が出来ます。
『スティール 首輪』」
セミ店員が呪文を唱えると、手にドクロの首輪が出て来た。
「うん? 大丈夫か?」
見るからに怪しい首輪を見て言った。
「最高級なので普通の物とは違うんですよ。
最高ランクSSは無理ですが、
ランクSまでのモンスターなら奴隷に出来ます。
・・・・・・・
ウチで1番特殊な首輪です」
「解った。これで手をうつ」
「ありがとうございます。それでは帰りますね。
『ワープ 1階』」
勝彦の下に黒い魔法陣が現れた。
すると、音もなく丸い黒石が勝彦の背後に転がり、
勝彦の影の中に消えて行った。
そして、二人とも地面に沈んで行った。
◎奴隷テント前
「それでは、ありがとうございました」
「もう~しないようにね」
「はい」
勝彦が見えなくなるまで、お辞儀をするセミ店員。
そして、いなくなるのを確認して、
・・・・・・・・
「さっき渡したプレゼントを気に入ってくれると
嬉しいゼミゼミよ」
不敵に笑った。
◎路地
「惜しかったな~。強くてボクのタイプの女性
モンスターをゲット出来ればな~。
まぁ~。どっちにしろ、
狙ったモンスターがいなかったから、
別の所に行くか~・・・痛って」
何かつまずいて前に倒れてしまった勝彦。
すると、また丸い黒石が転がっていた。
「これで3回目だ。何か変だぞこの石?
何か仕掛けでもあるのかな?」
座った状態で丸い黒石を手に取って眺めていた。
「もしかして、これは・・・・・・・」
『ステータス ターゲット オープン』
心の中で勝彦が魔法を唱えた。
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【名前】ウルル(女)
【種族】妖精族
【全体ランク】B1
【HP】 C5:845(頭:62 体:143 腕:100 足:40)
【魔力】 B3:5456
【力】 C4:777
【回避】 B1:2553
【命中】 B1:2290
【防御】 C4:712
【魔法防御】B3:6299
【特殊能力】B1:変身(消費魔力50)
:見た物に変身出来る。
C3:影入り((消費魔力10)
:影の中に入る事が出来る
【説明】
一回見た物に変身したり、影に侵入する事が可能。
【好きな事】イタズラ、変身する事、
甘い物が好きで特にハチミツが大好物。
【状態】健康
【注意事項】ペットモンスターなので会話が出来ない。
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(おお( ̄〇 ̄)!! ペットモンスターだったのか。
どうりで変だと思ったんだよな~。
つまり、ボクが石につまづいてこけたから、
面白くなって付いて来たんだな~。
よ~し。今度はお返しをしてやる。
( ̄▽ ̄)フフフフ)
「やっぱり、ただの石か。ここで泊まるか」
ぽいっと前へ投げた。
勝彦はベルトにある黒い正方形の物体に手を触れた。
その物体の事をセルと言い、【8/10】と書かれていた。
『セル オープン キャンプ』
勝彦が魔法を唱えると、目の前にテントやバーベキューで使うコンロなどキャンプ一式が現れた。
「さっきの石を焼いて、石鍋でもしようかな?」
チラリと丸い黒石の方をみると、
汗がが上から下へ滝の様に流れて行った。
(( ̄▽ ̄)ププププ。
焦って汗をかいてる。かいてる)
ばれない様に、必死に笑いを堪えた。
「その前に材料を買わないといけないな」
ベルトにあるセルに手を触れた。
表示は【7/10】と書かれていた。
『セル オープン 通販』
目の前にプカプカと飛んでいる小さなカエルが現れた。
『検索 材料』
カエルの上に大きな画面が表示されて、
沢山の材料の絵が表示された。
「どれにしようかな~」
勝彦が画面に集中している隙に、
丸い黒石がそろ~り、そろ~~りと遠ざかっていた。
(( ̄▽ ̄)フフフ。逃げようとしているな。
でも、これならどうかな?)
画面を見るフリをしてチラリと見て楽しんでいた。
「何か甘い物でも食べようかな~」
甘い物と聞いてピッタと止まる丸い黒石。
(ステータスに書いてあった通り、
甘い物が好きなんだな。よぉ~~し( ̄▽ ̄)!!)
「甘い物と言っても沢山あるからな~。
パンを食べたいから、ジャムかハチミツにしよう。
どっちが良いかな~~~~ジャム?」
チラリと丸い黒石を見ると、
ダメと言って様な感じで左右に揺れていた。
「ハチミツかな?」
丸い黒石が、ササッと一気に近づいてウンウンと頷いて縦に揺れていた。
(こいつ。動きが面白いな~。
もう少し遊んでみよう~)
思わず( ̄▽ ̄)ニヤリと笑ってしまった。
「そうだ。丸い黒石を使って決めよう」
丸い黒石は突然呼ばれたので、
ビックリした様に驚いたが石になりきっていた。
地面に境界線を書いて左に〇。右に×を書いた。
そして、丸い黒石を手に持った。
「この丸い黒石を上に投げて、〇だったらジャム。
×だったらハチミツにしよう」
(わざとジャムの方に投げたらどうなるかな?
( ̄▽ ̄)フフフ。ちょっと試してみよう)
丸い黒石を思いっきり〇の方に投げた。
すると、空中で一瞬羽が生えて、
不自然に×の方へ曲がって落ちた。
(おいおいおい。羽見えてたぞ(°д°)!!
そんなにハチミツが欲しいのか~)
目を大きく見開いて唖然とした。
「ば、ばつだから、ハチミツにしよう」
動揺しながらも、自然に振舞っていた。
丸い黒石は、縦に揺れて喜んでいた。
ハチミツの絵が書いてある所をタッチして、
500ゴールドを小さいカエルの口に入れた。
すると、カエルのお腹が大きくなり、
口からハチミツの入ったビンをペッと吐き出して、
勝彦がキャッチした。
「思っていたより大きな~。余ったのは捨てるか」
丸い黒石から妖精の手が出てきて、
もったい無いからダメダメっと言う様に左右に振った。
(フフフ。見えちゃってるよ~( ̄▽ ̄)/
あ~~面白かった(^〇^)。
そろそろ終わりにするか)
満足げな様子の勝彦。
「やっぱりもったい無いから、
これでペットモンスターを捕まえるか~」
ペットモンスターとは、
知能が低く話す事が出来ないモンスターの事。
ベルトのセルに手を触れた。
表示は【6/10】と書かれていた。
『セル オープン 罠ランクB3』
すると、赤い豆粒が手のひらに上に現れた。
「よし。準備するか」
ビンに入っているハチミツのフタを空けて、地面に置いた。
『ジョイン ハチミツ』
手に持っていた赤い豆粒をハチミツのビンの近くに落とした。
「よし。後は待つだけだな」
勝彦は草むらの方に歩いて隠れた。
一部始終を見ていた丸い黒石は、
ハチミツが欲しいけど罠だと知っているので、
食べようとはしなかった。
ただ、ピョコピョコ行ったり来たりして、
ハチミツを見る度にヨダレを垂らしていた。
(( ̄▽ ̄)フフフ。見ていて楽しいな~
いつまでもつかな?)
隠れながらニヤニヤする勝彦
だが、草むらから靴ぐらいの大きさで、
一匹のアリモンスターが現れて近寄って来た。
丸い黒石は気配に気づいて、ピタッと止まり石になりきっていた。
アリモンスターは、触覚で辺りを警戒した後、
ハチミツのビンに触れて、ハチミツを食べようとした。
すると、大きな泣き声が聞こえた。
アリモンスターがビックリした振り返ると、
そこには、スズメのモンスターがいた。
「ピピピピイピ」
スズメモンスターが羽をバタつかせて、
アリモンスターを攻撃しようと襲った。
アリモンスターにとって、スズメモンスターは天敵。
慌てて逃げてどこかへ行ったアリモンスターだった。
スズメモンスターは、その様子を見て腰に手を当て勝ち誇った様に笑っていた。
そして、妖精の姿に戻っていた。
蝶々くらいの大きさで羽が透明、
人間の子供の様な姿で耳が尖っていた。
髪は赤モジャモジャのパーマで、サングラスを髪に掛けて特攻服を着ていた。
ハチミツのビンに近づいて、自分専用のストローを懐から取りだして美味しそうに飲んでいた。
すると、赤い魔法陣が地面から現れてドーム状に、
半透明でピンク色の結界が現れた。
「ピーーーーーーーーーーーーーーー(〇_〇)!!」
妖精は目を大きく見開き大きく口を開けて、
持っていたマイストローをポトリと落とした。
そして、猛スピードで逃げた。
だが、薄い半透明な膜に触れと、
炎が生じて逃げる事が出来なかった。
妖精はあっちこっち飛び回って脱出を試みたが逃げる事が出来なった。
はぁはぁはぁと息をする妖精は、
良い案が思いついたとばかりに手を叩いて丸い黒石になった。
つまり、丸い黒石になってその場をやり過ごそうと考えたのだった。
だが、勝彦は目の前に現れて仁王立ちで、じっと見ていた。
「じーーーーーーーーーーーーーーーーー」
丸い黒石をじっと見てると、
観念した様に変化を解いて妖精が現れた。
すると、今度はこの結界を解けと、
勝彦の方向に向って指をさし、怒りながら猛抗議した。
「へぇ~~~。ボクにそうゆう態度を取るんだ。
立場が解ってないね~。
ここから出たくないんだね。じゃ~バイバイ」
笑顔で手を振ってクルリと振り返り、去ろうとした。
「ピピピピピ」
(ちょっと待ってーーーーーー!!)
妖精が慌てて飛び回り、ペコペコとお辞儀をして謝った。
「全く仕方ないな~~~」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑う勝彦。
ギロリと睨む妖精。
「うん? もしかしてボクの事を睨んだ?」
笑顔で答えた。
首を高速で左右に振って、引きつった笑いを浮かべた。
「よし。
出してあげる代わりに手伝だってよ?」
「ピピー?」
(どんな?)
空中で飛びながら首を傾げた。
「それは、まだ内緒」
「ピーピー」
(教えないらヤダ)
腕組みをして首を左右に振った。
「なら、1週間ボクを手伝ってくれたら、
このハチミツをあげるよ」
「ピピ?」
(マジ?)
目をパチパチさせた。
「ピーピ」
(でも、どうしようかー)
腕組みをして考えた。
「なら、仕事が終わったら、
新しいハチミツを買ってあげるよ」
「ピピ? ピーーーー( ̄▽ ̄)!!」
(マジ? それなら(^^)OK、(^^)OK、(^^)OK)
満面の笑みを浮かべて、右手の親指を立てて喜ぶ妖精。
『ピピーピ(ラルクガ)』
妖精が呪文を唱えると大きな棚が出現した。
妖精は笛を吹きながら指示を出すと、
小さく透明なビンが順番に踊りながら降りてきて、
ハチミツの方に向った。
ビンはフタを空けてハチミツの中に飛び込んで、
満杯にしたらフタを閉めて外に出て踊りながら棚の中へ戻っていった。
「はぁ~。何と言うか。
小分けして後で食べるんだろうな~
主婦みたいにしっかりしてるな~」
今まで見た事ない光景に戸惑いながらも、
感心する勝彦だった。
◎サルガ国の首都ダルメ
サルガ国は、珍しい魔法道具を作るお店が多く、
小さな国だが最近力を付けてきた。
ただ周りには強い大国が狙っており、
何回も攻め込まれたがある一人の英雄によって撃退していた。
その英雄の名は・・・・・
「ゴレア女帝!! ゴレア女帝!! ゴレア女帝!!」
町の広場に沢山の民が集まり、
戦いに勝って帰還したゴレア女帝の部隊を称えていた。
ゴレア女帝は顔と足はドラゴン族で翼が生えていた。
腕はゴーレム族の様に石で出来て仮面を付けていた。
3つの頭がある猛犬のケルベロスに跨って、
マントをなびかせながら王宮へゆっくり移動していた。
「さすが、ゴレア女帝だ。
10万対1万の戦いに勝利するとか凄すぎるだろ」
「ええ。私達の守り神よ」
賞賛の嵐がやまなかった。
だが、王宮から見ていたイノシシ族のザク王が渋い顔で見ていた。
「全く何で、たった1万でなぜ勝てるのだ」
手すりにドンと叩いた。
・・
「やはり戦いにおいては天才なのでしょう」
側にいたタヌキ族の悪徳軍師が答えた。
「悪徳よ。どうすればよいのだ?
ワシは、あいつが怖くて怖くてたまらんのだ。
裏切るかもしれないと思うと夜も眠れん」
両手が震えていた。
「大丈夫です。私に良い考えがあります」
「おお良い考えがあるのか。
何でもいいからあヤツを引きずり下ろせ」
「お任せ下さい。ザク王様」
不敵に笑う悪徳だった。
好評価をしてくれたら、テンションが上がって書くスピードが速くなります(o´∀`)b