ブランコとすべり台
ブランコ「公園の中で、子供たちが一番好きなのは僕さ。
だって子供たちを乗せて自由に揺れることができるんだよ」
すべり台 「何を言っているんだ。
子供たちが一番好きなのは、僕のほうだよ。
背も高いし、体だって一番大きいし」
ブランコ「じゃあ、子供たちは、どっちが一番好きか勝負しないか」
すべり台 「いいとも」
ブランコ「ほらごらん、子供たちを乗せて、こんなに体を揺らせるんだよ」
すべり台 「僕だって、子供たちが、こんな高い所から滑り降りれるんだよ」
ブランコ「よーし、もっと高くまで揺らしちゃえー。」
すべり台 「こっちだって、もっと高くするぞー。」
(その時、ブランコに乗っていたよしおくんと
すべり台の上にいたよし子ちゃんが、怖くて、泣き出してしまいました。)
ブランコ「つい、調子にのっちゃった。『よしおくん、ごめんなさい』」
すべり台 「つい、調子にのっちゃった。『よし子ちゃん、ごめんなさい』」
よしおくんのお母さん
「よしお、ブランコは泣いちゃうからすべり台にしたら?」
よし子ちゃんのお母さん
「よし子、すべり台は泣いちゃうからブランコにしたら?」
よしおくん 「もう平気だよ。」
よし子ちゃん 「もう大丈夫だよ。」
よしおくんのお母さんが二人に聞きました
「よしおくんとよし子ちゃんは、いつも公園に来るとブランコと滑り台
行ったり来たりだけど、ブランコとすべり台どっちが好きなの?」
(ブランコとすべり台は耳を立てて聞いています)
よしおくん・よし子ちゃん
「どっちも大好き。
ブランコにのって自分で体を揺らしていくのとっても楽しいし
すべり台だって、高い所からすべり降りるのとっても楽しいもの」
(そういって、よし子ちゃんとよしおくんは、一緒に走っていき
また、ブランコとすべり台の両方を行ったりきたりして楽しそうに遊び始めました)
ブランコ「僕、忘れていた。」
すべり台 「何を忘れていたの?」
ブランコ「この公園ができた時のこと」
すべり台 「僕は、随分前のことだから忘れちゃった」
ブランコ「子供たちが楽しく色んな遊びができるように
大きな鉄の塊から、君と僕ができたんだ。
つまり、君も僕もおんなじで、目的も同じだったんだよ」
すべり台 「そうか、君も僕も、子供たちの楽しそうな笑顔を見ると本当にうれしくて
しょうがなかったものね。少しだけ、思い出したよ」
よしおくん・よし子ちゃん
「ハハハハハ、
ブランコと滑り台って、本当に楽しいね、
ハハハハハ」