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私の眠る場所

作者: 417NotFound

愛した花があった

とても美しく清らかで

何ものにも染まり何ものにも染まらない花だった

私の涙を吸って透ける花が

私の心を透かすようで何故だか安心した


甘い実を食すのが私の密かな楽しみだった

誰にも知られないように

月の光や赤い夕日のしたで一人密かにあの実を探した

制限された一人で食べる味気のない食事に

辟易としていたのかもしれない


でもきっと隠れられてはいなかったのだろう

気付くと寝室にあの花があった


あの花が

私が

閉じ込められたようで

何故だか無性に怖くなった


知っていたはずなのに

理解していたはずなのに

私は理解出来ていなかったのだろう


あの花に自分を重ねて

野に咲く花にでもなったつもりでいたのだろう


何不自由ない生活をおくりながら

自由な生活をおくれない私は


あの花に自分を重ねることで

自由になったつもりでいたのだろう


あの花が咲く二ヶ月を過ぎ

少し気落ちした私を

慰めるために用意された

偽物のあの花は


偽物などすぐに用意できると

かえなどいくらでも効くのだと

言外に伝えられたように感じて

何故だか少し冷静になれた


私が居なくなっても大丈夫

私を必要としてる人は居ない

私の代用品が用意されている

私は一人だから何があっても


誰も悲しまない


ああ、必要ない必要ないんだ

誰も私を必要としていない

私も私を必要としていない


誰にも必要とされていない私は

居なくなってもいいのではないだろうか


何不自由ない不自由な生活から

逃げてもいいんじゃないだろうか


次にあの花が咲く季節が来たら

あの花と一緒に眠ろう


そう考えるだけで

生まれて初めて

自由になれた気がした


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