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第2話 勇者様の噂

「……勇者がノーデル国へ来る」


サヤにとってその記事は降って湧いた希望だった。

実しやかに囁かれていた噂、勇者様は異世界より遣わされた神の子である。

なんでも、セード王国中の魔法使いや神官、僧侶など少しでも魔力を有するありとあらゆる人々を掻き集めて成功した“召喚”だとーー


噂が真実であるのなら、“勇者様”はいつか“帰る”はずである。



勇者がどういう世界から来たにせよ、もし会えたなら言葉が交わせたなら、サヤ自身も元の世界へ帰る糸口が見つかるかもしれない、もっと言えばちゃっかり一緒に帰れるかもしれない。

奴隷に落とされた自分が神の如く祭り上げられている勇者を御目見得することなど普通であったら不可能だ、可能性で言ったらゼロ、零ではない、ゼロ。しかし、自分の“飼い主”であるアリスティアはノーデル国指折りの大金持ちも大金持ちで、その上自分を嬲ったり詰ったり犯したりはするものの、酔狂にもテーブルを共にしたり度々綺麗な宝石や人形を与えて随分と“可愛がって”くれている。


いける、


サヤは確信している。

アリスティアは「会いたい」と断言した、そのお願いを聞いてくれることを、アリスティアが一声でもかければ、セード王国からの使者である勇者様御一行は形式的にでもこのブラッドの屋敷に出向かざるを得ないことを。


やはり自分は“ツイてる”サヤはアリスティアから貰ったカシミアによく似た手触りをした大きなうさぎのぬいぐるみを抱きしめ、それとお揃いのブランケットに包まった。

父の顔、母の顔、自分の部屋の匂い、ペットの鳴き声、一つずつ思い出してから最後に何故だかアリスティアの瞳が思い浮かんだ。サヤはギュッと目を閉じて早く眠りたいと願った。

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