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第二話 恥ずかしくないのかよ、お前ら

 彼女は気まずく引いている1年生を尻目に、俺の所までずんずん近づいて来た。それからダーダンをひょいっと取り上げ、

「交感神経と副交感神経の問題だよ。練習中で緊張していたり、どん底まで疲れていると交感神経が働いて、防御システムが作動しているから、起たなくなるんだ。つまり、子づくりに適さない状況だと体が判断するという事だ。反対に、リラックスしている状況だと副交感神経が作用し、生活における次の段階、つまり体を休めたり、子孫繁栄に励む事を推奨する、こういう事だ。」

それからダーダンをぺらぺらとめくり、

「56ページ。」

と持っているマーカーで印をつけた。

 なんてヤツ・・・・。

 みんなが覗き込むそこには、トレーニングにまつわる質問の項目が。その上、まさに俺の悩みそのものが載っていた。

「お疲れマラって言うんだぁ・・・・。大人の言葉だね。」

阿部氏がなんだか納得した顔で頷いていた。

 あげくに彼女は

「だから、君は非常にいい状態という事になる。しっかり負荷かけて練習して、その疲労もしっかりとれて、なおかつ自分の生活に励める、という事だ。」

「見習わなきゃいけないなぁ」

透がにやにやと俺を見る。

「それか、練習量が足りず、よって負荷が足りないから回復が早い、かだな。陽介君。」

彼女はポーカーフェイスで部室に嵐を巻き起こし、去っていった。

 しかも、どこからどこまで聞いていたのか、そのドア越しに本物のマネージャーの小川よしのが真っ赤な顔をして立ち尽くしていた。  


 その帰り道、透が俺の顔を小突いた。

「これで練習量増やされたら、お前のせいだぞこのエロやろう。」

んなことねぇだろ。俺は肩をすくめた。

「それよりさ、あの噂知ってる?」

チェリーな阿部氏が嬉々としてターンをかまし俺の顔を覗き込む。

「委員長、野口コーチとつき合ってるってよ。」

委員長というのは、野口朝香の事だ。

「まさか。」

透が渋い顔を作る。

「それがマジでさ。マジ、兄貴とつき合ってるんだって。この前いちゃこいてたって、ミキが。」

「血のつながりないって聞いてたけど、本当かよ。」

「だろぉ?しかも二人暮らしって、コーチ言ってたじゃん?義理の妹と毎晩同じ屋根の下、あんな事も、こんな事もしたい放題・・・・・って!!」

思わず俺はこの童貞ヤローの頭を鞄ではったおしていた。

「んな事、口さけても言うんじゃねぇぞ。聞かれたら、シャレなんねぇ。」

それから、小さく聞こえていた足音の方に振り返った。

「今の話、聞いてないよな。」

すると小川が困ったように、曖昧に首を振った。


                 ひみつのひ  つづく


陽介君の本命は誰でしょう。彼女のキャラクターが先に思い浮かんで、そんな彼女にお似合いの男子“陽介君”をイメージしてできたお話なんです。

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