王子は遊園地を楽しみたい。
筆者:「短編書いた後で、その続編書く作家さんって多いけど、私のアレは続きは無……あれ? なんか降りてきた……書けそう?」
と、ついつい書いてしまいました。なんだかもう、レイ嬢のキャラがブレまくりです。今回はアラフィフ要素なし。
今回は、(今回も?)話の内容九割がパロディネタなので、不快に感じそうな方は、大変申し訳ありませんが、ブラウザバックをお願いします。
……というか、パロネタ多すぎて消されるかも?
―― …… ―― …… ―― …… ――
・前回のあらすじ
乙女ゲーム転生の王子様。同じく転生者の悪役令嬢と、それとヒロインちゃんと結婚。
継承権ないので公爵になって領地を貰った。この時点でタイトル詐欺。以上。あ、悪役令嬢さん二人目妊娠中。
俺たちは今、領地にオープン予定の遊園地に、視察に来ていた。
レイ監修の元に作られた遊園地ということで、不安いっぱい夢いっぱいの、実にむず痒い気分だ。
「これが王都ディスティニーワールドか……」
「ええ、そうですわ」
綺麗な筆記体で、OUTOO Destiny World と書かれているアーチ看板の前に立つ。
「そもそも『王都』じゃねーし……」
ここ、ウチの領だよ? 王都までは馬車で三日はかかるよ?
「それを言ったら本家だって浦や――」
「おおっと! そんな日本中で億単位で使われたであろうネタはやめて貰おう」
たぶん、国民の半分は二回以上言ってるよね? ソレ。
それはさておき――
「うん、ギリギリアウトな名前とか、あの城とかはまぁ見なかったことにするさ」
「王城や辺境の砦以外で、国に反意を示さないには、あの実用性のカケラもない形にするしかなかったのですよ」
あちゃー、子供の夢いっぱいの遊園地に入った瞬間に、大人の事情が出てきちゃったよー。
レイとそんなやりとりをしている間に、ヒロインちゃんは「チュロス買って来ます!」と、売店に走っていってしまった。
もうほとんどモブだよね、あの娘。なんでパシってんの? 喜々として。
あ、チュロスはレイ発案です。いつもご苦労様です。
「それで――ヒロインちゃんとはちゃんと“致して”おりますの?」
二人目になる大きなお腹をさすりながら、レイが半眼で見てくる。一人目は、今日は乳母と一緒にお留守番だ。
「あ、うん。まぁそれなりには……?」
一回の回数がレイの半分以下だとか言えない……
「ならいいんですが? 安定期に入っているからといって、何度も私の寝所に来るのはどうかと思いますが?」
「はい、ごもっともです……」
やはりレイに頭が上がらない俺だった。
――こうして、俺たちの不安いっぱいの遊園地視察は開始されたのだった。
―― …… ―― …… ―― …… ――
「まずこれが、この遊園地のマスコットキャラ。『し○な~び』です」
「出身地! 出身地がモロバレになるから!!」
オレンジ色の丸っこいものが付いた赤い首輪をした、青いだるま型の着ぐるみが踊っていた。
しかも二重の意味でのパクリかよ! あいつの周りだけ、某国の遊園地の雰囲気だよ!
「そしてあれもマスコットの『うま○もん』です」
「またかよ!? また青狸のパクりかよ!? 好きなら本物をパクれよ!!」
色はグレーだけど、存在は限りなく真っ黒に近い灰色の、デカ頭の着ぐるみが、めんたい味の、う○い棒を売っていた。
「あ、私買ってきますね」と、またヒロインちゃんがぴゅーっと走っていく。ヒロインとはなんぞや……?
「あら、行ってしまいましたね。まだ本命の『まり○っこり』が残ってましたのに……」
「それはあんたの琴線に触れただけだよな!? 遊園地にアレとか子供にトラウマ植え付けかねないからな!?」
ちなみに、まり○っこりは、グッズが発禁になったそうな……存在ヤバすぎて。
「そして、まず、遊園地のモニュメントを作るにあたって――」
「実物大ダ○バインを作りました」
「なんでだよ!? お台場のアレに感化されちゃった!?」
「いえ、岡山のアレとか、光吾○さんのアレです」
「手作り!?」
しかもこのダ○バイン、アニメ版じゃなくて高荷義○さんの生々しいイラストのバージョンだし!
「見てください、この羽の美しさ……これの為にフェアリーの羽を500枚、毟り取りました」
「むごいことするなよ!?」
無邪気に「わーきれいー」とか言ってるヒロインちゃん。なんで君は話のフレームが見切れる位置にいるの? いつも。
「どうせまた半年もすれば生えてきますよ?」
「そ、そうなのか……? フェアリーってそんななのか……?」
「まぁ、半年後には、ビア○スを作る予定ですけどね」
「よし、領主命令だ。即刻中止しろ」
なんでそんなにオ○ラバトラ○推しなんだよ。全長7メートル前後で、遊園地の目玉のモニュメントとしてはイマイチ盛り上がりに欠けるだろうが。
まぁ……それにしても、実際すごいわコレ……この外装とか、甲虫系のモンスター素材とか使ってるのか? リアルさがハンパない。それゆえに、このファンタジー世界での違和感がないことに地味にムカつく。
「これ……実際に動くとか……?」
「なに言ってるんですか、動くわけないでしょう? ファンタジーやメルヘンの世界じゃああるまいし」
「ファンタジーだからねっ!? 忘れないでね!? ほらみて、火、火でるよ! 指先から!」
そもそも、元々俺ら魔法学園に通ってたんだからな? そこんとこ忘れんなよな? 全然話に絡んで来ないけど!
「そしてアトラクションです。まずは――」
「おい……」
「仰向けの実物大ガ○ダムです。ゲームで高得点を取った人のみが、このコクピットに入れます」
「どーして実物大シリーズにいきたがるのかな!? しかもマイナーな方に!」
というかマシュ○ーといい、この人はロボットオタクか!?
「引きこもりだった息子とコミュニケーションを取るために……」
「聞きたくなかったなぁー! その情報!!」
そして次が――
「絶凶・戦○迷宮です」
「ディスティニーワールドはどこに行ったのかな!? 富○Qだよね!? アレもソレも!!」
「そしてし○な~び」
「やかましいわっ!?」
「そしてアレは▲様」
「だからちょっとヒネったって、出身地ネタは――ってヒィィィ!!!?」
動く!? 動いて鉈を振り回してくるぞ!? こいつ!!
「あ、心にトラウマを持ってる人を襲いますから、ソレ」
「今! この時がトラウマだよ!? しかも戦○迷宮とやたらマッチしてるよ! コイツ!!」
「頑張って逃げてください」
「ちっくしょぉぉぉお! それと、富○Qはっ……し○おかじゃなくて、や○なしだからなぁぁぁぁぁああ!?」
―― …… ―― …… ―― …… ――
「はぁ、はぁ、はぁ……死ぬかと思った」
「さっさとワレカゴすればよかったのに」
「ホラーアトラクションに本物を使うなよ!? なんでこんな所だけ本物使うんだよ!?」
ちなみに浄化はヒロインちゃんが使ってくれました。モブとか言ってゴメン。でもやっぱり話からフレームアウトしてるよね?
「もっとこう……普通の遊園地っぽいのはないのか? メリーゴーランドとか、ジェットコースターとか……」
「ふむ……ありますよ?」
「はい、これがコーヒーカップです」
「ぅ……ぉぇ……」
なんで遊園地トラウマ率ナンバーワンの遊具を作っちゃったのかな?
調子に乗って、アレをぐるぐるまわしすぎた所為で、一日中具合が悪くなっちゃって、せっかくの遊園地がまるで楽しめなかった子供が、どんだけいるとおもってるんだ? 俺なんて見ただけで吐き気を催すぞ?
「ええ、そう思いましたので、回せなくしておきました」
「それはそれで、地味な嫌がらせだな!」
「ランダムであの中の一個だけ回せるようになってます」
「それになんの意味があるのかな!?」
「しかし実際に回るのは、別の組のコーヒーカップです」
「客同士で喧嘩させたいのか!? おまえは!!」
―― …… ―― …… ―― …… ――
「一体、なんなんですか貴方は」
「……?」
「ここは、子供が遊ぶ場。子供が笑顔になる場なんですよ? それを貴方はあーでもない、こーでもない、と、文句ばかり言って」
「……」
「いつか、わたしたちの子供も、ここへ遊びに来るのです。貴方は子供の前でもそんな言葉を吐くのですか? 力いっぱい、楽しもうとしている子供の前で」
レイは大きく膨らんだ腹部をなでる。そこには、これから産まれてくる、俺とレイの子供がいる――
だが……
「いやな? 前回同様、それっぽい説教で煙に巻こうとしてるけどな? 子供が笑顔になれないだろうからこう言ってるんであってな? ▲様に追いかけられて喜ぶ子供がいると思うか?」
『視線……⇒』
「おい、こっち見ろや」
「メイヒィさまー、う○ぎパイ買ってきましたー。おいしいですよー!」
「あの方は、『すごく』笑顔ですが?」
「ヒロインちゃぁぁぁぁん!!!?」
――今日も我が領は、無駄に平和です。
会話ばかりで状況説明がまったくと言っていいほどないものを、小説と呼んでいいか疑問ではありますが……
そもそもパロネタばかりなので状況説明してしまうとマズいという……
それと状況説明をいれるとテンポが悪くなってしまうんだよなぁ。
ネタの神様。もうちょっと、どうにかならなかったですかね?
あ、ちなみに筆者の出身地はし○おかではありません。あしからず。