07
次の日。
俺は課題の山を前にペンをひたすら動かしていた。 それは何故か?
もうお察しの通りです。 と、しか言えないけれど昨日のサボりの罰みたいなものですかね、はい。
そして今、俺はクラス委員長、夏木玲奈に記述問題の山を一つずつ丁寧に教えていただいている。
「ーーていうか、クラス委員長って夏木、さんだったんだ?」
「呼びにくいなら夏木で良いよ」
俺が呼び捨てに慣れているのに気づいたのか、それともただ単に何も考えずに言ったのか解らないけれど正直助かる。
さん付けとか俺しない方だし。
「私も委員長は神城さんがいいって言ったんだよ!? それなのに……」
「……どんまい」
「ありがとうって言ったら良いのか、酷いよって言えば良いのかわからないよ……」
肩を落とす夏木に俺は正直何て声を掛けてやるべきなのか解らない。 だって俺関係ないし。
「あ、花京院くんだ」
どれ位視力が良いのか解らないが夏木は廊下から教室に歩いてくる花京院を見つけて声をあげ、花京院のいるであろう位置に向けてヒラヒラと手を振っていた。
規制正しい靴の音が教室に近づいてきて教室の扉を開けた。
「む? 何をしておるのだ? 篠宮に夏木」
「先生に言われて篠宮くんに勉強を教えてあげるの」
「つーか、これ課題だよ。 昨日授業サボったから」
課題?
と、首を傾げる花京院に夏木は慌てて
「ち、違うの! あのね、篠宮くんはほら! ええっと……そう! 新しく選抜クラスに入ったから置いて行かれないようにって私が教えるように頼まれたの!」
「そ、そうなのか? では今日の委員会活動は出来そうにないか……? 篠宮」
よっしゃ!
やらなくて良いとかラッキー!
「そうだな……」
と、目の前の課題の量とそれを提出しろと担任に言われた時間などを花京院に告げると花京院は渋々ながらも納得してくれた。
納得してくれるのだから良い奴だよ。
「ふむ……では今日は僕一人でやる事にしよう。 課題、終わるといいな篠宮」
「本当にな」
それだけ言うと、花京院は俺達の側から離れ鞄から携帯だけ持って教室を出て行った。
「委員会、良かったの?」
「別に今俺達二人がやってる活動は委員会とは関係ないし大丈夫だと思う」
「それなら良いのだけれど……」
でも……と花京院が立ち去ってからも責任? か何かを感じている夏木に俺は適当な言葉を並べて説得する。
夏木はそれに何だかんだで納得してくれてまた勉強ーーというか課題を再開した。
「そういえばさ」
「な、なに!?」
「夏木の髪と目って生まれつき……?」
夏木は俺の言葉に自分の髪をさらりと撫でた。 一番初めに教室にきた時から思っていたのだけれど桃色の髪の色は流石に俺の目に一番に飛び込んできたよ。
「生まれた時は……茶色だったよ、でも魂のせい、なのかな。 初めて能力が使えた日に何もかも変わっちゃった」
「髪と目が変わっちゃう程副作用がある能力なんてあるんだな……ま、でも良いんじゃない? 似合ってるんだし」
本当に何も考えずに口走っていた。
というか元々思った事は声に出しちゃうような人間何で……。
目の前で顔を髪の毛と同じ様な色に染める夏木を見て俺まで恥ずかしくなってくる。
ていうか、今の言葉の何処に照れる様な場所があった!?
「あ……ありがとう…っ」
「別に……、」