05
授業を凄く不本意だったがサボった後、俺はーー俺達は屋上に足を伸ばした。
正直行かないで教室に戻ろうとしたのだが花京院のあの時の目は恐ろしかった。
獲物を狩る獣のような目をしていた、もう何だか教室に戻りたいとかそんな命知らずな発言俺には出来なかった。
現在、屋上の扉の前にいるのだが。
「此処だな、では入って見ようではないか」
「……お、おう」
そのまま何の迷いもなく屋上の扉のドアノブを回す。 ていうか屋上の扉空いていたのか……俺も通うようにしようかな昼休み位に。
勿論授業はちゃんと出るに決まってるだろ
これ以上休むとか内申本当にやばいから。
絶対無理だから。
「情報が正しくて安心したぞ、さっきぶりだな。 安藤美郷」
「……またアンタ等か。 で? 何の用? 此処はアタシとセフレのテリトリーなんだけど」
「男女の不純異性交遊は認められておらぬのだが」
確かにこれは花京院の言う通りだ。
学生証の校則にはしっかりと書いてあるわけだしな……というか校則読んでいたのかコイツ。
それで戦おうとかさっき言っていたのだから恐ろしい男である。
ま……まあ、あんな恐ろしい表情をする位なのだから何というか……考えただけで身体が震えてくる。
「凄く固いねアンタ、本当は溜まってんじゃないの? 何ならアタシが発散させてあげよっか?」
「何を言っているのかわからんな、取り敢えず手始めに制服のボタンを閉じることからだな」
俺もう完全に空気だわ。
神宮といた頃の俺は本当に幸せだったな……もうなんていうかあの頃が恋しいわ。
そんなつまらない事を考えていた時、安藤の蒼い瞳が俺の瞳を捉える。
「君って、優等生の篠宮裕貴くんでしょ? 何で此処にアンタみたいなのがいるわけ?」
「優等生って程でもねぇよ」
「みたいだねぇ、授業サボってるし」
前方から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。 勿論声の主は安藤なのだけれど。
けれどその笑い声は直ぐに止んだ。
視線を再び安藤に戻すと、
「……あぁ、時間だわ」
「む? 何の事だ……?」
安藤は頬を緩めながら制服のボタンを手際良く閉めた。
直後、明らかに伝わってくる魂の反応に俺は安藤が能力を使っているという事を悟った。
薄れゆく安藤の姿に俺はコイツの能力がどれほどのものか数値として脳に刻む。
「じゃあまたねぇ」
手をヒラヒラと振りながら紫の淡淡しい光と共に安藤は姿を消した。
さてこれは、どうしようものか