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ノスフェラトゥとヴェアヴォルフ  作者: 周防涼白
ぶらり異世界小旅行編
53/59

~///~

「俺、勇者辞めるわ」


 訓練という名の扱きが一週間程続いたある日の夜、オレは唐突に告げた。


「え、なんて?」


 思わず、俺は問い返してしまう。だってそうだろ。行成、自分の予想を超える事を言われては。


「なんかさぁ、ユウシャサマーって感じがしないじゃん。まるで、物みたいに扱われてない俺ら」


 そう言われてみればソウ感じてしまうかもしれないが、だからと言って、ソウであるとは断定出来ない。


「国を、世界を救ってもらうべく、過酷な訓練になってるんじゃない? 折角召喚した勇者が弱くて魔王に返り討ちに遭いました、じゃとんだ笑い話だしさ」


「そーなんだろーけどさー……」


 オレは何やら考え込むように俯いてしまう。


「なぁ、オレも勇者を辞めて一緒に世界を周らないか? 知らない土地、未知の生物、新しい種族との出逢い……考えるだけで胸熱だろ? ゲームの世界に来たようなもんなんだからさ!」


 確かに魔王なんて知ったことかって言って、異世界ぶらり旅したいさ。だけど。


「だけど、此の世界の人達は俺に、勇者に縋っている訳だろ。其れを蔑ろに出来ないと言うか、申し訳ないと言うか、なんか、最後までやり遂げたい? のかな。仕事投げ出さずに」


「あぁ~俺はソーユー人間だったなぁ! 忘れてたよ。俺がオレたる所以は其処なんだよな、うん」


「そうだろ? オレ。ほら、断らない男」


「断れ(・)ない男、だろ」


 と、オレは不敵な笑みを浮かべた。俺も釣られて笑みが零れる。


 会話がなく、窓を叩く雨の音だけが木霊する。


「うん、此れ以上説得しても無駄だろうし、最後に一ついいかな?」


「どうぞ」


 俺はどっしりと構える。オレは一つ深呼吸。


「シンクロしよう」







「えっ///」


「なんで其処で恥じらう必要がある?!」


「いや……その、貴方と合体したい、みたいな事言われましたらね……わはは」


「んな訳ねぇだろ! ほら手ーだせ! 手!」


 と、強引に俺の手を引っ張るオレ。


「あ///」


「そ~ゆ~のいらないから!」


「分かったよ。ノリ悪いなオレ」


「よし分かった黙れ。直ぐさま口を閉じろ!」


「了解」


 手と手が触れ合う。まるで鏡に写っているかのようだ。


「前回の分では中途半端だったから、多分今回で完璧に分け合える筈だよ」


「おけおけ、よろしく頼んます」


「ほいっと、DDD」




 白い闇に堕ちて行く。


 身体の中から何かが抜けて行く。


 魔法を行使する時の、魔力が抜けるのに似ている。


 だけど、なんか違うかも。


 なんだろうね、何か大切なモノが喪失して行く気がする。


 そうして……俺の記憶は途切れた。


…………○

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