〜嘘だと言ってくれ〜
…………○
俺は眼の前の現象を受け入れられなかった。何が起こった、何が起きている?
いや、眼を逸らすのは止そう。先生は生命の同化を無理矢理、この地域に展開させたんだ。だから、生命在るモノは全て、根刮ぎ先生に奪われたんだ。
人も犬も猫も鳥も……。案外、思考の外にあるかもしれないが無生物においても生命はあるのだ。死が在るモノ、死の境界が在るモノは逆説的に生命が在ると説明出来る。
だから、土も車も空気も建物も……なにもかもが奪われた。
「くくく……ははははは! 喰い放題もいいところだ!」その発言はアウトだと思います。
俺は、俺が伸ばした影を解いた……解いたつもりだった。しかし、そこにはなにもなかった。
どうゆうことだ? 俺は確かに先生から、害悪から皆を護りたい一心で、影を広げたはずだ。だのに、何故、何も残っていない?
「おやおやおや? おやおやおやおや? どうしたんですかその表情。まるで、何が起こったのか分からないみたいな顔をしていますよ?」
笑いを堪えきれないように、先生は話しかけてきた。
「あなたは、自分で何をしたのか理解していないのですか? あなたは私と同じことをしでかしたのですよ?」
皆を護りたいだとか、そんなことを思っていた俺が酷く滑稽に思えた。
「なん……だと……?」
「あなたはこの地域を喰い散らかしたんですよ?」
「ウソだ! 俺は……俺は皆を護りたいと思っていた!」
「それこそが、既に嘘なのです。あなたはあなた自身に対して嘘をついていたのです」
俺の中でなにかがガラガラと音を立てながら崩れ落ちる気がした。彼女は……彼女は無事なのだろうか?!
必死になって気配を探ろうにも、ここに或るのは俺と先生の影だけだった。
「お前がしたことは全部ぜぇんぶ無駄だったんだよぉ!!!!」
彼女は、彼女は犠牲になったのだ。俺の所為で。俺がちゃんと能力を施行出来なかったばかりに。
「うおおおおおおおおおおおおおお」
俺は叫んだ。叫べる限り叫び続けた。そして先生にぶつかり合った。
「ははははははははは!!!!」
俺と先生は所詮、影。実体のない虚な存在。嘘の存在。存在そのものが怪しい。
混ざり反発し溶け合いながら、俺は思った。いっそのこと、世界そのものが呑まれてしまえばいいのにと。
そんなことが脳裏を過るのと同時に、俺は消えた。
久し振りの更新です(^_^;)
なんか、もう、わやです。
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