――な、な、ななんだって~?!――
結構急展開かもしれません。
この作品はとりあえず終わらせる為、超展開になりそうです(汗
――――+
なにか胸騒ぎを感じたのは、一体いつからだったのかな。あの帰り道での出来事から? あの教育実習生が来てから? それとも、今、目の前で起きている現実離れしているのを目撃してからなのだろうか。
今日は特にこれといった用事もなかったので、帰宅途中、本屋さんにでも寄ろうかと思い少し寄り道をしていた。本屋さんに到着して雑誌コーナーからプラプラと店内を練り歩いていると、大好きな作家さんの新しい作品をたまたま見つけ、購入することに。紙袋に包装された本を胸にぎゅっと抱き締める。そして、店から出る。
昂ぶる気持ちはスキップとなりて、ハイテンションのまま帰宅することに。ハイテンションの所為か、
「白ちゃんは、なにしているのかな」
ポツリと、なんて独り言が零れていた。言葉は歩道を行き交う人達に飲み込まれ霧散した。しかし、もし誰かに――それこそクラスメイトにでも――聞かれていたら……なんて思い、恥ずかしくなる。恋する乙女道まっしぐらですね、と言われたら反論は出来なさそうだ。
近道である公園を横切ろうとしようとした時、白ちゃんを見かけた。ふわっと身体が軽くなるような錯覚。ああ、今日寄り道して良かった、なんて。でも、本当に嬉しい。
よく見ると、なんか分からないけれど、疲れているように思えた。そして隣りには背の高い女の人。……ソノヒトダレ? 一瞬、こめかみ辺りがピキッと音を立てたのは気のせいだと思う。……思うのです。
こっそり物陰から覗き見しているみたいだけれど――正にその通りです――なんかこういうのってドキドキして楽しいね。探偵さんの真似事みたいで。
注意深く見ると女の人は、あの(・・)教育実習生だった。なんで先生が白ちゃんと一緒にいるのだろう。ただただ単純に疑問と**が膨らむ。
はっ、まさか……生物の実習!? 生物誕生の秘話とか神秘、的な?! 許すまじあの女、絶対に絶対に絶対に。
自分の脳内がピンクに染まっている気がしたけれど、きっと気のせいだろう。そもそも、ここは公園、つまり屋外である。ソウイウコトは大抵、夜の寝室で天井のシミを数え……ってなにを考えている!
深呼吸して気持ちを落ち着けて、再度、ふたりの動向を見据える。
どうやら軽く言い争っているようにも思える。
先生は身を翻し数歩動く。どうやら話が終わったようだ……と思うと、先生はもう一度身を翻し、振り向きざまに白ちゃんの頭を掴みだした。
これは教育委員会に通報しないといけませんね、携帯電話に指を走らせようとすると……するりと指からすり抜けるように携帯電話が砂利へと落ちた。
目の前で起こる光景を信じられない。思考が停止する。頭の中が、白で統一されてしまう。
先生の手と、白ちゃんの顔が……交ざ(混ざ)り合っている。
最初はアイアンクローをしているだけなのかと――それはそれで問題だけれど――思ったけれど、先生の手がズブズブと白ちゃんの頭の中へ沈み込んでいった。既に肘の辺りまで入り込んでいる。
なにを言っているのか分からないかもしれないけれど、私も全く分からない。分からないことを伝えようとしてもダメだね。人になにかを教えるには、その物事を十二分に理解しないといけないとは正に。
本当に訳が分からない。なにがなんだか、もう。
先生は左手で白ちゃんの頭を抱き寄せるようにして胸との距離をなくす。そのまま、ずぶずぶと白ちゃんが先生の中へと溶け込む。
とんだ場違いな感想なのかもしれないけれど、まるで、白ちゃんが奪われるような、どこか遠くへ行ってしまうかのように感じた。それは、とても切なくて、胸がギューッと締め付けられるようだった。
私の中でなにかがザワリと蠢いた。心臓を起点として、ざわめきは、くまなく身体中を縦横無尽に駆け巡る。まるで、なにかに蝕まれるかのような錯覚。胸に氷の杭を刺されたみたいに隅々まで冷えこむ。
全身に走る鋭い痛みとともに訪れる、絶対的な安心感。
人は、なにを以てして、人と呼べるのだろうか。
もし、仮にだよ。
頭がなくなったとして。
生理食塩水に浸されて。
身体に沢山の管とか機械を入れられて。
それらがなくなると死んじゃうようなものを。
自分で呼吸すら出来ないようなものを。
「人間」と肯定出来るのか。
生きていると認められるのかな。
分からない。私には分からないけれど、こう思う。
それは、ただの肉塊でしかないと。
人を、人間であると肯定するための要素は一体なんなのか。
逆に化け物の定義は簡単だと思う。
複数の人――一人だと、その人の妄想という可能性があるから――がその対象を「異常」だと認識してしまえば、そいつは普通というカテゴリから逸脱するはずだ。
じゃあ、今の状況は?
誰がどう見ても異常としか捉えられないだろう――若しくはドッキリか。
女のお腹から白ちゃんの脚が生えている。首を90度傾けたならばさぞかし、いびつで、不気味で、異様なTの字を拝めることでしょう。
気味が悪い。気持ち悪い。吐き気がする。先程の安心感は何処へやら。
ふと感じ始める、身体の中から込み上げてくる不可解な力。許容量をオーバーするのは一瞬のことで、一気に沸き上がり溢れ出す。目や口、鼻から耳から……穴という穴からナニカが噴き出す錯覚。
「********」
口から発せられた音は決して声と呼べるものではなかった。遠吠えのような絶叫……心の声。止めどなく零れ出てくる。堰き止めていたダムは決壊し、氷の、心の鎖から解放されるように熱く沸る血が駆け巡る。
そう……私は、今――。
…………○
ありがとうございます。続きは来年かと……




