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相方は座敷ワラシ!  作者: 沙φ亜竜
第4章 ようかい喫茶はいかがですか?
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-1-

 ゴールデンウィークが終わると、うちの学校は春祭一色といった様相を呈する。

 次の週末には春祭が開催されるからだ。


 連休に入る前にも議論は繰り返され、クラスとしての出し物は決まっていた。

 それが、『ようかい喫茶』だった。


 文化祭といえば喫茶店でしょ、なんていう適当な意見に流され、そのまま決まりかけたときに、小明麻さんがひと言。


「以前にも言いましたけれど、このクラスの特徴といえば笑ちゃんです。座敷童子も妖怪の一種。わたくしの所属する妖怪部としても全面的に協力しますので、ここはひとつ、妖怪の喫茶店と致しましょう」


 当たり前だけど、クラスメイトから反論が出る。

 妖怪を前面に出すと、あまり人が近づかないかもしれない。そう考えたからだ。


「それでしたら、陽気で爽快な喫茶店ということで、ようかい喫茶としたら、いかがでしょうか?」

「ひらがなで書くことで、ようかい=妖怪じゃないのかもしれない、どういうことだろう? という疑問が浮かび、興味を持ってもらえるということですね。いいアイディアだと思います」


 黙って議論を聞いていた咲先生がそう意見すると、その方向で話はまとまっていった。

 咲先生は妖怪部の顧問だから、結局小明麻さんと先生の思惑どおりに進められてしまったということになるのかもしれない。


「というわけで、クラスの出し物は『ようかい喫茶』に決定しました。長波さんと笑ちゃんは、『のりわら』として頑張ってくださいね」

「やっぱり、そうなるわけね」


 議長を務めていた委員長が締めくくる声に、あたしはがっくりとこうべを垂れていた。


「……ボク、学校の行事に参加させてもらえるのって、初めてです。すごく楽しみですの~♪」


 笑ちゃんはとっても上機嫌のようだ。彼女の笑顔を見ていると、こっちまで穏やかな気持ちになるから不思議なものだ。

 さすがは妖怪ということなのかな。


「でも、『のりわら』だけだとパフォーマンスとしては弱いし、ふたりも疲れるだろうから休憩する時間が必要だよね。他に誰か、パフォーマーとして参加してくれる人はいませんか~?」


 委員長がクラスメイトに挙手を促す。

 とはいえ、誰も自らそんな目立つ役回りになんて、志願したりはしないもの。

 手は一本しか挙がらなかった。


 ……って、ひとり挙げてる!


 ちょっと驚いたけど、


「わたくしが志願致します。お友達の妖怪にお願いして、パフォーマンスをさせていただきますわ」


 それは小明麻さんだった。

 ああ、あの人なら、とみんな妙に納得しているようだ。


 それにしても、「お友達の妖怪」って……。

 ちょっと不安ではあったものの、非常に乗り気な小明麻さんと、頑張ってねとエールを送っている咲先生に、誰も異論を挟む余地なんて見つけられなかった。


 ま、いいわ。あたしだけが目立って恥ずかしい思いをするのも不公平だもん。

 小明麻さんにもせいぜい頑張ってもらおう。

 そうだわ。せっかくだから、美野ちゃんも巻き込んじゃえ。


「立候補は他にいませんか? ん~、まだ少ないし、推薦でもいいですけど~」


 という委員長の声に、すかさず挙手。


「はいっ! 美野ちゃん……じゃなくて、歩境さんは歌がとっても上手なので、歌ってもらうのがいいと思います!」

「な……っ!? かのりん、あんた……!」


 あたしの発言に、美野ちゃんが慌てた声を上げる。


「へぇ~、そうなんだ。それじゃあ、決定っと」


 あたしの意見はあっさりと可決された。

 ふっふっふ、美野ちゃんも道連れよ!


「く……。あっ、そうだ。桜之城くんがギターを弾けたと思うから、伴奏を頼みたいわ」


 ……え?


「うん、一応できるけど……」


 友親くんが遠慮気味に言う。

 うわ~、友親くん、カッコいい~!


 って、そういうことじゃなくって!

 そうなると、当然ながら……。


「というわけだから、わたしと桜之城くんのふたりきり(丶丶丶丶丶)で、たくさん練習しないとね」


 いやらしい笑みをあたしのほうに向けながら、「ふたりきり」を強調して言い放つ美野ちゃん。

 うあっ、あたしに対する嫌がらせのつもりってこと!?


 ……友親くんが、たとえ相手がお友達の美野ちゃんとはいえ、他の女の子とふたりきりで練習だなんて、そんなの絶対にイヤ!


 と、そう思ったのは、あたしだけではなかったみたいで。


「ちょ……っ! そ……それならわたしだって、お琴を習ってたことがあるわ! だから、わたしも歩境さんと桜之城くんのほうに参加します!」


 委員長が慌てて宣言する。

 サクラさんの件で、事実上友親くんに告白した委員長。

 気持ちの整理はついたと言ってはいたけど、やっぱり好きな気持ちは変わっていないのだろう。


 どうでもいいけど、ギターと琴で伴奏って……。

 和洋折衷といえば、それなりにまともに聞こえるかもしれないけど、やっぱりちょっと微妙なのでは……。

 だけど、自分たちさえ槍玉に挙げられなければいいと考えているのか、クラスメイトたちは必要以上の盛り上がりを見せ、やんややんやと囃し立てていた。


 そんなこんなで、春祭では『ようかい喫茶』としてお客さんを呼び込むかたわら、教壇の部分に舞台を設置し、


 あたしと笑ちゃんの『のりわら』による、お笑いライブ、

 美野ちゃん、友親くん、委員長による、即席バンドの歌、

 小明麻さんとそのお友達(丶丶丶)による、シークレットライブ、


 以上三つの演目を実施することが決定してしまうのだった。


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