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相方は座敷ワラシ!  作者: 沙φ亜竜
第3章 サクラの花びら舞う頃に
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-4-

 翌日の放課後、あたしたちは妖怪部の部室となっているレクリエーションルームにいた。


 妖怪部の部員は、全員がクラスメイト。部としてはかなり微妙だと思う。

 その上、この部屋には怪しげな備品なんかもたくさん置いてある。

 レクリエーションルーム本来の用途として使う場合には邪魔になりそうだけど、そのときはちゃんと片付ける約束になっているらしい。


 こんな怪しげな部が存続できているのは、顧問である咲先生の希望でもあるからのようだ。

 優しい先生、といった雰囲気を漂わせている咲先生だけど、妖怪部の顧問なんてやっていることも含め、少々得体の知れない部分がある。

 どうやら咲先生は、小明麻さんの親戚にあたる人らしい。なるほど、だからちょっと変わってるんだ、と妙に納得してしまう。


 他の先生方も、咲先生に逆らうなんて恐ろしくてできないと口々に言っているのだとか。

 先生方がひそひそと話しているのをクラスメイトが聞いたみたいなのだけど、もし咲先生に知られたら大変なことになるのかもしれない。


 それはともかく、強制的に入部させられはしたものの、部活の時間にすることといったら、美野ちゃんたちと他愛のないお喋りをするくらいだった。

 あたしは、楽しい時間を過ごせているので、これはこれでいいかな~なんて思っていた。


 今部室にいるのは、あたしと美野ちゃんと友親くんの三人だけだ。

 委員長や小明麻さんは、まだ来ていない。

 そんな中、あたしは主に友親くんとのお喋りに夢中だった。


「長波は相変わらず、笑ちゃんのおかっぱ頭を、叩きまってるよね」

「ひう~。いつもいつも、ひどいですの~」

「とも……桜之城くん、あたしべつに凶暴な女の子ってわけじゃないんだからね? 笑ちゃんがツッコんでくださいと言わんばかりにボケまくるから、仕方なくやってるだけなんだからね!?」

「あははは、そのわりには叩くとき、すっごく楽しそうだよね」

「そ……そんなことないわよ! ……たぶん……。そりゃ確かに、サラサラな髪と大きめの頭が、叩き心地最高ではあるけど……」

「あははは、やっぱり好きで叩いてるんじゃん」

「ち……違うよぉ~~~! 桜之城くんの、意地悪~~~~!」


 ぽかぽかぽか。

 あたしは頬を染めながら、友親くんの肩口辺りを軽く叩き続ける。


「まったく、あんたたちは相変わらず仲がいいわね~」


 美野ちゃんが呆れ顔で茶々を入れてきた。


「え? そ、そうかな~。でも、普通に話してるだけだよねぇ~?」


 あたしは友親くんに同意を求める。


「うん、そうだね」


 友親くんも、温かい笑顔を浮かべて答えてくれた。


「はいはい、わかったわかった。だけど、今日は暑いくらいだし、あまりべたべたしないでよね」

「え~? べつに、べたべたなんてしてないよ~。ねぇ?」


 あたしは再び友親くんに同意を求める。

 このときのあたしの手のひらは、無意識のうちに友親くんの腕にそっと触れていた。

 そこで、不意に大きな声が響く。


「そんなにくっついちゃダメだよ!」


 あたしに鋭い視線を向け、怒鳴りつけるような勢いの強い口調で叫びながら、委員長が部室に飛び込んできたのだ。


「え? 委員長? どうしたの?」


 あたしは彼女の尋常じゃない形相に怯え、思わず横にいた友親くんにぎゅっとしがみつく。

 すると委員長はさらに声を荒げ、普段の彼女からは考えられないような叫び声を轟かせた。


「離れろ~~~~~!!」


 ぐおおおおおおおおおおおおん!

 獣の咆哮かとも思えるような音を伴い、教室内に突風が巻き起こる。


「きゃっ!? な……なに!?」

「ひうっ!」

「ちょ……ちょっと、委員長、どうしちゃったのよ!?」


 あたしたちの焦り声をかき消すように、突風は凄まじい勢いで襲いかかってきた。

 どこから舞い込んできたのか、無数の桜の花びらが乱れ飛ぶ。


 髪もスカートも乱れまくり。手で押さえてはいるものの、髪はぐしゃぐしゃ、スカートもまくれ上がって大変なことになっていた。


 いや~ん、友親くんに見られちゃうっ!

 そう思って焦るあたし。


 状況を考えると、焦りの方向性が微妙にずれているのかもしれないけど。

 だいたい友親くんだって焦っているだろうから、周りを冷静に見ていられるような余裕なんてないだろう。

 なんて思っていたら。


「委員長、やめなよ!」


 手で風から目をかばうようにしてはいたけど、しっかりと委員長を見据え、友親くんは落ち着いた様子で語りかけていた。

 突風の轟音が鳴り響く中だというのに、友親くんの声はハッキリとあたしの耳に届いた。


「あ……、わたし……」


 ハッとした表情で周りを見渡し始める委員長。

 その途端、あれだけ吹き荒れていた突風は、何事もなかったかのように静まる。

 と同時に委員長は身をひるがえし、部室から飛び出していった。


「委員長さん、嫉妬桜に囚われてしまったようですわね。取り憑かれている、と言ってもいいかしら」

「うわぁ!」


 いきなりすぐ横からかけられた小明麻さんの声に、あたしは驚きの声を上げてしまう。

 ほんと、神出鬼没な人だ……。小明麻さん自身が妖怪だったりするんじゃないだろうか。

 と、そんなことを考えているような余裕はなさそうだ。


「取り憑かれているって……どうして、委員長が?」

「そんなこと、自分で考えなさいな」


 小明麻さんは、ピシャリと言いきる。


「今は委員長を追いかけるのが先決でしょ! 行くわよ、かのりん!」

「う……うん、わかった!」


 美野ちゃんに発破をかけられたあたしは、彼女に続いて走り出した。


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